ファーブル昆虫記6ツチハンミョウのミステリー

ファーブル昆虫記〈6〉 ツチハンミョウのミステリー今回の主役はゲンセイとツチハンミョウ、オオヒョウタンゴミムシ、キンイロオサムシである。
あまり馴染みのない虫ばかりなのが残念だが、虫たちの驚くべき生態とファーブル先生の飽くなき探求は、いつも通り楽しませてくれる。

まずは、ゲンセイの大冒険である。

ゲンセイの小さな幼虫は、トンネルの入口で7、8ヶ月の間、食事をまったくせずに、スジハナバチが現れるのを待つ。
最初に羽化するオスがトンネルから出てくる時に、ゲンセイの幼虫はパッとハチの胸の毛をつかみ、その中に潜り込む。
3、4週間たって、ハチが交尾する時に、ゲンセイの幼虫はハチのオスの毛の中からメスの毛の中に乗り移り、次にメスの産卵管から出てくる卵に乗り移る。
こんなにたいへんなおもいをして、幼虫はやっとのことで、ミツをまんまんとたたえたスジハナバチの巣の真ん中に浮かぶ、卵の上におさまる。

事実は小説より奇なりである。
もしSF小説だったら、出来過ぎた設定だと思うに違いない。

普通の甲虫は、幼虫、サナギ、成虫のような変態をする。
しかし、ゲンセイやツチハンミョウは、幼虫からサナギのような形態に移行した後に、もう一度幼虫に戻る「過変態」である。
理由はまだ分かっていないようだ。

オオヒョウタンゴミムシが、本当に死んだマネをするのか確認するために、様々な虫を気絶させるファーブル先生の執念も凄い。
そして、何でも食べる殺し屋オサムシは、メスがオスを食べてしまうのだから恐ろしい。

このシリーズの翻訳者である奥本さんは、フランス文学の研究者だが、自身でも昆虫の本を多数出版している。
だから、この本でも日本の例が要所要所で紹介されていて、理解がし易いのだろう。
また、センスよく簡略化された挿絵も私の好みである。
翻訳家や挿絵作家もファーブルのファンのようだ。
ファンによって作られた、ファンブックでもある。
図書館で借りているのだが、手元に取って置きたくなった。

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