荒神

荒神 (新潮文庫)宮部みゆきによる怪獣モノ時代劇。
怪獣というには業が深いが、イメージ的には怪獣大暴れの小説である。
時代劇でありながら怪獣小説であるというアクロバットな小説を、見事に成立させてしまうのは、さすが宮部みゆきである。

東北の山間にある2つの藩は常に半目しあっており、戦にならないのは、揉め事を起こすと幕府にお取り潰しにされてしまう恐れがあったからだ。
その山の中で、ひとつの村が壊滅する。
状況を確認しに向かった侍たちも帰ってこない。
両藩を、人間では太刀打ちできない恐るべき厄災が襲う。

まあ、要するに怪獣である。
巨大な怪獣が人間を食べまくる。
途中で変化するあたりは「シンゴジラ」を想わせる。

しかし、実際には円谷的な怪獣ではなく、怨念が凝り固まった妖怪に使い。
妖怪のの謂れ(設定)は、ちょっとややこし過ぎる気もする。
発生した理由や退治する方法は、科学的ではなく、呪術的である。

2つの藩が舞台となり、キャラクターが多くて最初は戸惑う。
けれど、慣れてくると俄然面白くなってくる。
キャラクターの配置の旨さは、さすが宮部みゆきである。
感情移入できる人物も多く、とてもよく出来たエンターテイメントになっている。
特に、ジジイが頑張っている。

NHKでドラマ化するようだが、このスケールは無理だろう。
普通に映画にすれば良いのに。

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