生物に学ぶイノベーション

生物に学ぶイノベーション 進化38億年の超技術 (NHK出版新書)生物の持つ多様な能力を人間生活に応用する「生物模倣技術(バイオミミクリー)」についての本である。
生物の持つ能力については、驚くばかりである。
しかし、技術に適用する例は、あまりビックリするようなものはなかった。

飛行機を始め、生物を観察することで技術にブレイクスルーを起こした事例は多い。
技術開発に行き詰った時、自然界の観察は、発想の転換にも重要な役目を果たしてきた。

この本では、次のような分類で、生物模倣技術を解説している。
・生物の形
水着や自動車に応用される魚類の皮膚構造、ハムシの水中歩行から生まれた接着技術
・生物の仕組み
 発熱する植物ザゼンソウの温度調整術、魚の群れがバラバラにならない理由
・生物がつくったもの
 動けない植物の防衛方法、ヤママユガのホルモンを用いた制ガン剤
・生物そのもの
 生ゴミまで分解するキノコ、昆虫を用いた画期的リサイクル法
・生態系
 森と海の生態の循環、クマとサケの共生

通常、虫たちが口にした食物は、短くて数時間、長ければ数日を要して糞や尿として排出される。チョウ
の仲間は、この仕組みとは別の、飲んだ水が消化管を素通りするルートを開発することで、暑気払いを行っていたのだ。汗腺がないため、汗をかけないチョウのこのクーラーシステムは、単純でありながら理にかなっている。

ザゼンソウは、寒冷地に生息し、早春に鼻を咲かせる。このとき、氷点下になるような外気温の変化に対して、およそ一週間、自ら発熱することで温度を約20度に保つのだ。

ハエの幼虫は、体からさまざまな物質を分泌して、腐敗した有機物を消化、吸収しやすいように変化させてから摂取する。そして、その過程において悪臭を消して、細菌さえも殺してしまう。言い換えれば、ハエの幼虫は「食べ物を体外で消化している」のである。

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