虎よ、虎よ!

虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2)人間のテレポーテーションが可能になった未来、フォイルは事故で宇宙に取り残される。
近くを通りかかった宇宙船は、フォイルを救出せず、通り過ぎてしまう。
フォイルは、その宇宙船への復讐を誓い、生き延びる。
かくして、感情が昂ぶると虎の刺青が顔に浮き上がるフォイルの、星間戦争を背景とした復讐が始まる。
1956年に発表されたベスターの名作である。

「まさに黄金時代だった。雄渾な冒険が試みられ、生きとして生けるものが生を謳歌し、死ぬことの難しい時代だった」
なんとも胸踊る出だしである。
素晴らしい冒険を予感させる。

しかし、置き去りにした宇宙船を恨むという発想にはついていけない。
やはり、恨むなら、父母妹くらい殺されないと、仮面ライダー世代には説得力がない。
途中で、恨むなら宇宙船ではなく乗務員だろ、と言われるまで、本気で宇宙船を恨んでいた節がある。

論理的展開には欠ける気がするが、あえてテレポートをせず古代の乗り物で集合するセレブや、4マイル先まで歓声が聞こえる巨大なサーカス団など、イメージは華やかで、悪趣味なのが嬉しい。
アメコミの原作者でもあるベスターは、ビジュアルな描写が巧い。
「キャッチワールド」のようなワイドスクリーンバロックの雰囲気もあるが、当然こちらが本家本元だ。

身体を強化したフォイルは、歯にしこんだボタンを押すと加速する。
こんなところに、「サイボーグ009」の元ネタがあるとは知らなかった。

最後の宇宙旅行は意味がわからない。
共感覚も、文章の表現としては面白いが、ストーリー上の位置づけがわからなかった。

半世紀前のSFなのに、古さを感じさせないのは凄い!

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