グラスホッパー

グラスホッパー (角川文庫)相手の背中を押して車や電車に轢かせる「押し屋」、相手を自殺に追い込む「鯨」、非情なナイフ使い「蝉」の3人の殺し屋の物語である。
殺し屋が沢山出て来るが、タランティーノの映画のような派手さはなく、むしろ淡々と進行するハードボイルドだ。

主人公は、妻を無謀運転でひき逃げされ、復讐のために非合法組織にもぐりこんだ元教師である。
彼が復讐するはずだった組織の社長のドラ息子が、彼の目の前で「押し屋」によって殺されてしまった。
成り行きで、彼は「押し屋」を追うことになった。
それ以外にも「鯨」と「蝉」の物語があり、段々と3つが絡み合っていく。

復讐のために組織に潜り込んだ主人公は、どこか存在感が希薄だ。
復讐にかける情熱が感じられない。
むしろ、復讐を生きる口実にしているようにも思える。
自分の殺した相手の幻覚を見るようになった「鯨」も、騒々しい若者の「蝉」さえ、人の命にも、自分の命にも愛着があるように思えない。
だから、かなり人が殺されるのに悲壮感がなく、むしろ幻想的にさえ感じられるのかもしれない。

人間は、同類の密度が高くなると殺し合うバッタと一緒だ、というのがタイトルの意味である。
そのような世界観に基づいたキャラクター作りだから、感情移入がしづらいのかもしれない。
個性的で、面白いコンプレックスを抱えた登場人物が多いのに、あまり好きになれない。

ラスト近くのドンでん返しには、ちょっと驚いた。

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