のぼうの城

のぼうの城 上 (小学館文庫)豊臣秀吉が日本を統一する直前の時代、湖の中に浮かぶ小城が石田三成の大軍に襲われた。
しかし、何も出来ない総大将・成田長親をかつぐ忍城は、なかなか落ちなかった。

成田長親は、領民からは「のぼう様」と呼ばれている。
「のぼう」とは、「でくの坊」を略した呼び方だ。
長親が農民を手伝おうとすると、必死に遠慮される。
何をしても不器用で、結局やりなおさなければらないからだ。
この男、本当に何も出来ない。
だからこそ、農民達もほっておけず、いくさの手助けをすることになる。

城を守る3人の若い家老達は、優秀だが個性がが強く、誰の言うこともきかない。
普通ならば、とてもまとまるメンバーではない。
ただ、長親を中心にして、何となくまとまってしまう。
「長親の下知なら聞こう」
「何故だ」
「下知を出しそうにないからだ」
その上、この三人はそれぞれカッコいい。

忍城の人々は、勇猛さと奇策、地の利を活かして、20倍以上の敵と渡り合う。
その闘いは、読んでいてとても楽しい。
この時代の人々は、敵味方関係なく、その勇気に感服する。
そのせいで、血なまぐさい戦闘が清々しく感じられる。
新しいタイプの戦国時代劇である。

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