ゴールデン・マン

ゴールデン・マン (ハヤカワ文庫 SF テ 1-18 ディック傑作集)やはりデイックは面白い。
この頃、古典を読んでも楽しめないことが多かったので、感性がすり減ってしまったのかと不安になっていた。
高校、大学を通じて最強のSF作家フィリップ・K・デイックは、いま読んでも十分楽しめた。
まずはひと安心。

この短編集は、ニコラス・ケイジ主演の「NEXT」という映画の原作が含まれるので再版されたようだ。
予想通り、原作と映画は全然違う。
共通点は、未来が見えるところだけだ。
だいたい、「ゴールデン・マン」というタイトル通り、未来が見えるミュータントは、全身金色なのだ。
当然、ニコラス・ケイジは金色ではない。
原作であることを、わざわざクレジットに入れなくてもいいのに、と思ってしまう。

「ゴールデン・マン」
核戦争後、人類の間に頻繁にミュータントが生まれるようになる。
当局は、ミュータントを発見し、抹殺する政策を取っている。
そんな中、全身金色のミュータントが発見される。
彼は未来を予知することが出来るので、捕獲することも、射殺することも出来ない。
その彼が出頭して来たため、あらゆるテストを行った結果、彼には知能も過去の記憶もほとんどないことが判明する。
しかし、彼には、女性が抵抗出来ない絶対的な性的魅力という能力もあった。
関係者は、やがて人類が彼にとってかわられるのを予感するのだった。

「リターン・マッチ」
宇宙人が置いていったピンボールマシンに、復讐される男の物語である。

「ふとした表紙に」
不死の生物の皮で表紙を作った本が、その生物の観点で書き換えられてしまう。
人類の知的遺産が、不死の観点から見直されるところが面白い。

この短編集を読むと、ディックの本質のひとつがユーモアであることが実感させられる。
麻薬にまで走った自身の不安と、哲学・宗教に関する膨大な知識、SF的アイディアを、ユーモアでくるんで小説にしている。
だから、いつまでみ古くならないのかもしれない。

その他に、以下の短編が収録されている。
・妖精の王
・ヤンシーにならえ
・小さな黒い箱
・融通のきかない機械

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