「のぼうの城」の和田竜の新作である。
今度は伊賀の忍者と信長軍(もっとも息子だが)の戦いを描いている。
ここで描かれている忍者たちは非情である。
金のためには、平気で仲間も裏切る。
そうならざる得なかった境遇も語られるのだが、サバサバした感じはむしろ好感が持てる。
恐ろしく強い伊賀の忍び達だが、その中でも抜群に強いのが、「無門」である。
しかし、無門は金にも、戦いにもあまり興味がない。
ただ、さらって来た武家の娘であるお国に、催促された時は働く。
無敵の無門が、お国だけには頭が上がらない。
無門が伊賀の忍びの非人間性に気が付く時、この関係の意味が浮彫りになる。
忍び達の技は壮絶で、そこそこリアリティがある。
でも、山田風太郎の馬鹿馬鹿しさと、物語作りの巧さには、まだまだかなわないと思う。
キャラクターは、「のぼうの城」の方が面白かった。
次回作に期待。
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