グーグル革命の衝撃

グーグル革命の衝撃 (新潮文庫)たかが検索でマイクロソフトを脅かす巨大企業となったGoogle。
NHKスペシャル取材班が、Googleの検索ビジネスの実態に迫る。
とてもジャーナリズムを感じさせる本だった。

情報の提供という意味では、Googleの検索及びインターネットは、ジャーナリストと競合する関係にある。
国でさえ提供出来ない情報インフラを、無料で、センス良く提供してくれるGoogleは、とてもいい会社だと、私などはお気楽に捉えているが、記者達はそうでもないのだろう。
疑いは記者として必要な資質であろう。
でも、日々検索を利用しないわけにはいかない現実から、立ち位置の見直しを考える頃合いだとは思う。

Googleの創設者であるラリー・ページとサーゲイ・ブリンは、スタンフォード大学の学生時代、ホームページ間のリンクについて研究していた。
リンクの多いホームページが、重要なホームページに違いない、という結論に達し、その考え方は、今もGoogle検索の根本にある。
インターネット上のホームページをダウンロードし、リンクを解析するのに、当時お金のなかった彼らは、大学中の古いパソコンをかき集めて、分散処理で解析を行った。
現在のGoogleも数万台といわれるPCで検索用のデータ収集と解析を行っている。
世界有数の企業となっても、創設当時と基本的なやり方が変わっていないのが面白い。

2004年頃のGoogleはデータセンターのレンタルサーバでシステムを運用していた。
その時重要だったのは、ラックの車輪だったそうだ。
Googleはデータセンターと電気代込みで契約をしていたが、Googleがあまりに電気を使うので、データセンターが破産してしまい、違うデータセンターに急いでマシンを移動されるために、車輪が重要だそうだ。
なんとも微笑ましいエピソードである。
現在もGoogleにとって電気は大きな問題で、自前で発電所の建設もしている。

Google創設者達の目的は、無邪気で純真だったと思う。
それだけではビジネスとして成り立たなかったが、検索を広告と連動することで、莫大な利益を生むビジネスが誕生した。
Googleはテクノロジーを開発し、広告で利益を生む不思議な企業である。
作っているものと、売っているものが異なるという不思議な状態が、Googleの信頼性、ブランドを押し上げている。
しかし、全人類のインフラといっていいほど巨大化したGoogleは、政治から逃げられなくなりつつある。
実際、中国からの規制要求に屈指問題になった。

パソコンのOS開発を表明し、まだまだ走り続けるGoogleが、今後どのようなビジョンを見せてくれるか、無料で楽しませてもらおう。

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