5年3組リョウタ組

5年3組リョウタ組 (角川文庫)池袋ウェストゲートパーク・シリーズの石田衣良による先生モノである。
いまさら先生モノもないだろう、と思ったが、さすがは石田衣良、爽やかで読ませる小説になっている。

現代の問題をストリートのトラブルバスターが解決する、爽やかな青春小説が「池袋ウェストゲートパーク」シリーズだった。
タイムリーな社会問題を見事な手腕で、エンターテーメントに仕上げている。

この小説の主人公は、小学校の先生である。
熱血というわけではなく、どちらかというと何となく教師を選んだ、ごく普通の教師である。
この普通さがとても良い。
教育問題として大きく構えることなく、日々子供たちの視線でトラブルと立ち向かっていく。

相棒になる同僚の天才教師とのコンビが面白い。
誰からも受けが良く、如才なく物事をこなす二枚目の同僚は、主人公にだけは自分の弱さと夢を語り、親友となっていく。
シャーロック・ホームズとワトソンのようなコンビで、問題に立ち向かう。
主人公はワトソンである。
頭は良くないが、その実直さで周囲の共感を呼んでいく。

最初の話は家庭問題を原因にした生徒の脱走だが、2話では教師の不登校がテーマになっている。
この本でも、現代的な問題を見事にエンターテーメントとしている。

しかし、この本を読む限り、ストレスとペーパーワークが死ぬほど多い教師には、なりたくないと思ってしまう。

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