ねじまき少女

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)ヒューゴー、ネビュラのダブル受賞で、ねじまきでエコSFと言われたら、読んでみないわけにはいかない。
エネルギー危機と遺伝子操作による食料危機に見舞われた未来、混沌としたバンコクが舞台のSFである。

原子力や火力による発電が失われてしまったので、象を遺伝子操作した巨大生物が動力の中心となり、動力の保存にはネジが使われる。
表題の「ねじまき少女」とは、日本製のコンパニオン人造人間である。

物語は、バンコクが秘匿する遺伝子情報を狙う外国人のスパイと、その部下で再度の成り上がりを夢見る中華系の老人、ねじまき少女、環境庁の隊長と副官を中心に展開する。
タイ政府内の内輪揉めが暴走し、バンコクは混乱状態に陥っていく。

サイバーパンクの後継と宣伝されていたが、似ているのは舞台の猥雑さだけのように思える。
ねじまき少女が暴走するまでは、淡々としていてスピード感に欠ける印象である。

ねじまき少女がマッドサイエンティストから、色々付けてあげよう、と言われる最後のシーンは、まさに「日常」のねじまきロボと東雲博士の関係である。
恐るべきシンクロニシティ!

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