空の中

空の中 (角川文庫)有川浩の「図書館戦争」は、ストレートな恋愛小説過ぎて苦手だったが、自衛隊3部作は面白い。
懐かしい感じの怪獣小説である。
まずは、空から。

国産ジェット旅客機が高度2万メートルで、謎の爆発事故を起こした。
同じ高度2万キロで、自衛隊のテスト機も事故を起こした。
父親のテスト飛行を見学に来たパイロットの息子は、事故現場付近の海岸で不思議な生物を拾う。
生物は、携帯電話を使って少年と通話し、成長し空を飛ぶようになる。

ジェット旅客機と自衛隊機が激突したのは、擬態で姿を消した巨大生物だった。
2度もぶつけられた生物は、姿を現し、人間とのコンタクトを図る。

ビックリするほどストレートな怪獣小説である。
ここまで正面切られると、かつて海底に生息していた生物が、生存競争を避けて、だんだん上昇していった、という設定など、どうでも良くなって来る。

巨大な浮遊生物は、単一の生物だったのが、ミサイル攻撃でバラバラになってしまったため、複数の個体に別れてしまった。
複数の状態が理解出来ず、混乱する生物を再統一するために、解離性障害の治療を行うのが面白い。

なし崩しに生物との交渉担当になってしまった航空機メーカーの技術者が、ちゃらんぽらんそうでいて、交渉上手なところがいい。
また、彼が狙う女性パイロットととのやり取りも微笑ましい。
対怪獣戦のメインストーリーがあってのロマンスならば、十分楽しめる。

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