今回のスノボ部合宿はバスツアーだった。
メジャーな観光地が盛り沢山で、いささか疲れた。
でも、そこそこ天気に恵まれて、楽しい旅行だった。
ツアーは朝9時に上田駅集合なので、東北新幹線を使っても、家を5時には出なければならなかった。
7人のメンバーのうち2人は、酒好きでコンパクトなクーラーボックスを持参していた。
その中にビールや氷を入れて持ち歩く。
美味しくアルコールを摂取することに対する貪欲さは、驚くばかりである。
東北新幹線で上田駅に到着すると、ツアーバスが来るまでしばらくの待ちである。
今回の旅行は乗り換えが多く、待ち時間も多かった。
上田駅周辺をうろつくと、「サマーウォーズ」や「戦国バサラ」のタイアップ広告や関連商品を発見した。
上田だけでなく、ツアーで訪れた観光地では、アニメやマンガとのタイアップがいつくも見られた。
これはこれで面白い。
最初の目的地は黒部ダムである。
ツアーバスで扇沢に向かい、そこでトロリーバスに乗り換えてダムまで上る。
扇沢から黒部ダムまでトロリーバスで16分、ダムを15分歩いて、黒部平までケーブルカーで5分、そこから大観峰までロープウェイで7分、次に室堂までトロリーバスで10分、美女平駅まで高原バスで50分、立山駅までケーブルカーで7分。
とにかく多くの乗り物を使う。
子供や乗り物好きには楽しいだろうが、私は疲れた。
ケーブルカーやロープウェイは、乗っている時間よりも待っている時間が長いのも辛い。
傘を忘れたので雨が降ったら困ると思っていたが、まあまあ幸運なことに黒部ダムは雪だった。
少なくとも、雨よりはマシである。
日本一巨大なダムなのだが、堰堤を歩いている分には巨大さが実感出来なかった。
むしろ下から見た方が、迫力があったのではないかと思う。
この時期には観光用放水が無かったのも残念である。
売店でアンケートを答えて、ダムカードを貰った。
ダムの堰堤の売店では、トロリーバスのチケットを見せて、カードを引渡済のスタンプを押してもらう。
このカードはマニアの間では有名で、モノによっては高値で取引されているらしい。
興味のない人間が見ると、なんということのないカードである。
黒部平駅ではケーブルカー待ちの間、係員による黒部ダムの説明がある。
この説明が流暢で、うまく笑いも取っていく。
店頭販売のようだな、と思っていたら、最後に本の販売を始めた。
大観峰までのロープウェイでは、少し晴れ間が出て来た。
視界が開ければ、雪に覆われた山々は美しい。
天気の良い日にまた来たいと思うが、乗り継ぎの面倒さを思うと考えてしまう。
室堂では、今回一番の目的である「雪の大谷」を観る。
道路の両脇に、バスより高い雪の壁がある観光名所である。
この日も15メートルと、ガンダムの身長クラスの雪の壁だった。
この地方は外国人の観光客が多い。
アジア系が多いが、アラブ系やインド系の観光客もおり、雪が珍しいせいか高校生のようにはしゃいでいた。
雪の壁にも外国語の落書きが多く、日本人と違って観光マナーがなっていないなあ、と勝手に思っていた。
実は、メッセージエリアというものがあり、自由に落書きをして良いのだった。
宿は砺波ロイヤルホテル。
周りは田んぼばかりなので、とても巨大な建物に感じられる。
夕日を見ながら和風のディナーである。
疲れてもいたのでマッサージコーナーで全身マッサージを受けた。
我々のメンバーは7人中4人も利用したので、かなりの貢献率である。
2日目は朝7時45分にロビー集合である。
半分眠ったまま朝のバイキングを消化して、精算を済ませる。
1日に3箇所も観光地を回るので、スタート時間は早い。
最初の観光地は世界遺産の白川郷。
私は一度来たことがあるので、あまり興味がなかった。
しかし、前回とは季節が違うし、天気が良いので散策しているだけでも気持ちがいい。
まずは、バスでちょっとした丘を上り、展望台に向かう。
展望台からは、山と村落がとても綺麗に見える。
まだ9時前なので、観光客が少ないのも良い。
展望台ではカメラマンがスタンバイしていた。
写真を撮って販売するのが商売だが、写真を買うかどうかに関わらず、観光客のカメラで撮影もしてくれる。
撮影時の掛け声は「白川ゴゥー」だった。
「ゴゥー」の部分の発音は、「ひろみゴゥー」である。
これはツボにハマった。
撮った写真は無線LANでプリンターに送信され、リアルタイムに印刷される。
うまい仕組みだ。
丘から徒歩で下り、村の中を散策する。
有料で中を見学出来る家もあったが、私は前回見学しているので、今回はパスした。
待っている間、のどかな農村でボーっとしているのも楽しい。
思ったより時間が無かったので、見所の家をひとつ見学しただけでバスに戻った。
駐車場に戻った時には、大量の観光客が到着した。
早起きは辛かったが、村が人で溢れる前に散策出来て良かった。
次の観光地は高山である。
高山については、全くイメージがなかったが、川越のような古い街並みだった。
ここで昼食なので、バスのガイドさんにお薦めのラーメン屋を教えてもらって、混む前に店に入ってしまうことにした。
土地勘がないので、ラーメン屋がなかなか見つからない。
でも、探す間に観光が出来たので、結果オーライである。
街並みは、古いだけではなくセンスも良い。
また、川沿いものどかで、いい雰囲気である。
人気の観光スポットなのもうなずける。
やっと見つけた「やよいそば」で高山ラーメンを食べた。
細くて縮れた麺が特徴的なラーメンである。
美味しいには美味しが、私としては普段食べているとんこつラーメンの方が好みである。
食後は自由観光となる。
私はハチミツソフトクリームを食べて、酒屋に入った。
吹き抜けの中庭で日本酒が呑めるオシャレな酒屋だった。
残念ながら禁煙で長居が出来そうもなかったので、試飲だけ済ませた。
バスでの集合時間直前にポスターを見て気が付いた。
高山は、現在放映されているアニメ「氷菓」の舞台だったのだ!
迂闊だった。
来る前にに気が付いていれば、事前に調査して、もっと楽しめたのに。
最後の観光地は上高地である。
名前は良く聞くし、山を登ったこともあるが、観光地としての上高地のことはよく知らない。
とりあえず、雨だけは降って欲しくなかった。
上高地の駐車場が近づいてくると、山が見えるとガイドさんが盛り上がっていた。
どうやら、上高地は天気が悪いことは多く、山が見えるのは幸運なことらしい。
大正池でバスを降りて、河童橋そばのバスターミナルに2時間後に集合である。
どうやら湿原の散策ということらしい。
川の水はとても綺麗で、午後なので観光客が少ないのは良かった。
でも、湿原の良さがいまひとつ分からない。
まあ、自然の中を2時間歩くのは、それだけで身体に良い。
上高地を舞台にしたマンガ「岳」のタイアップ商品が、お土産物屋で売っていた。
途中で雨に降られることもなく、無事に河童橋に到着。
メンバーの多くはソフトクリームを食べて、最後の観光地見学を終えた。
とても盛り沢山で、なかなかハードなバスツアーだった。
集団行動が苦手なので、バスツアーにはほとんど参加したことがない。
しかし、確かにバスツアーは効率が良いし、自分で運転しなくて良いので気楽である。
後半天気に恵まれたので、楽しい旅行だった。