人間の脳は、案外いい加減な作りであり、それ故に、人間らしい感情や文化が生まれている、という面白い視点の本。
神経科学者の著作だけあって、読んでみると、納得してしまう。
大前提は以下の通り。
【脳の設計の進化上の制約】
1.脳をゼロから設計し直すことは出来ない。
必ず既存のものに新たな部分を付け加える、という方法を採らなくてはならない。
2.脳にいったん持たせてしまった機能を「オフ」にするのが非常に難しい。
たとえ、その機能が負の効果をもたらすような状況でも、なかなか「オフ」にはできない。
3.脳の基本をなすプロセッサであるニューロンは処理速度が遅く、信頼性も低く、信号の周波数帯域も狭い。
ホストコンピュータのプログラムのメンテナンスを考えると、とてもイメージし易い。
この前提から、未成熟な子供の誕生や能力・性格への環境の影響、夢や宗教の発生までが説明されている。
面白い本だった。
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