屍者の帝国

屍者の帝国若くして亡くなった天才SF作家伊藤計劃のメモを元に、友人の円城塔が書き上げた大作である。
ワクワクするようなネタが満載されている。
でも、なぜか読みにくい小説だった。

時代は19世紀末。
フランケンシュタインが成功させた死者再生の技術が世界的に広がり、死者の労働力が巨大な産業となっている。
主人公は、シャーロックに出会う前のワトソンである。
Mからの司令を受けたワトソンは、死者を使ったロシアの秘密計画を暴くために潜入捜査に赴く。

ゾンビ物ではあるが、発想がSF的である。
産業革命における蒸気機関を死者に置き換えている。
最終的には、生命や意識について、アクロバティックな考察に繋がっている。

出てくる人物や事件、思想がとにかく楽しい。
ダーウィンなどの実在の人物だけでなく、カラマーゾフ兄弟やヴァン・ヘルシングなどフィクションの登場人物も数多く登場する。
読んでいて、ニヤニヤしてしまう。
19世紀末が、いかに芳醇な時代だったか、再認識した。

アイディアもいいし、キャラも立っている。
驚くほど博学な知識も披露されているのに、なぜか読みにくい。
情報が多すぎて、頭が追いつかなかったのかもしれない。
いづれ、再読しよう。

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