非常にディックらしい、バカバカしいSFだった。
なぜかディックの小説は、ハリウッド映画の原作になり易いが、本来はマッチョなど登場しない、この作品のような変人ばかりのドタバタが多い。
人工爆発に苦しむ未来の地球で、超高速移動機の内部の亀裂から、居住可能な別世界へ行けることが発見された。
史上初の黒人大統領候補は、移住計画を発表するが・・・
全地球的な事件のはずなのに、関係する人間が少ない。
とてもディック的である。
大統領候補とその広報担当、超高速移動機開発会社の社長と売春衛星の経営者で、人類の未来が決定されてしまう。
売春衛星の経営者は、離れられなかった一卵性双生児で、ひとつの頭部をふたつの身体で共有している。
映像化がかなり難しそなイメージである。
登場人物たちの不安とセコイ思惑も巻き込んで、物語は思わぬ方向に向かう。
こういう、バカバカしくて軽い、ディックの作品をもっと読みたい。
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