サイコパス秘められた能力

サイコパス 秘められた能力病的殺人者としてサスペンス映画などで有名になった「サイコパス」。
その「サイコパス」の常人にはない能力と社会への有用性についての研究書である。
大学の先生が書いたのではなく、冒険的なジャーナリストが執筆している。

「羊たちの沈黙」の「ハンニバル・レクター」こそが、一般に知られる「サイコパス」のイメージである。
この本によると、現実のサイコパスも、レクターのように沈着冷静で、行動が感情に左右されないようだ。
その資質は、企業内でリーダーシップを発揮するのに最適で、企業のCEOの中には、サイコパス・テストで高得点を取るものが多いらしい。

また危険な現場で活躍し、英雄的な行動を取る人もサイコパスの傾向が高い。

その結果、驚きべきことがわかった。心拍数はどの(爆発物処理班)隊員も安定していたものの、受勲経験のある隊員には信じられないことが起きた。
心拍数が減少したのだ。
危険区域に足を踏み入れたとたん、瞑想しているときのように集中する。
無意識に近くなり、自分が処理している爆発物と一体化する。

しかし、同じ精神的安定を家庭内暴力で得るサイコパスも居る。

恋愛のエキスパートで「夫が妻に暴力をふるうとき」の共著者でもあるニール・ジェイコブソンとジョン・ゴットマンは、特定のタイプの虐待者は心電図に共通点があることに気がついた。
その手の人間はじつは、目を閉じてアームチェアーでくつろいでいるときよりも、パートナーを殴っているときのほうがリラックスするのだ。

結局のところサイコパスの傾向は、複数の特徴の組み合わせであり、その強弱のパターンによっては社会に受け入れられ、場合によっては犯罪者となる。

この本の目玉のひとつは、著者自ら人工的にサイコパスになったことだ。
最先端の技術によって彼は短時間サイコパスになり、サイコパス判定テストで、彼よりサイコパス的傾向の高い友人よりも高得点を叩き出す。
胡散臭い技術ではあるが、それを試す度胸は褒めるべきだろう。

「効果は1時間ももたないはずだ」ニックはそう言ってわたしを椅子に案内した。
歯科用の椅子に手を加えたもので、頭に載せる部分と顎に載せる部分と顔を固定するバンドまでついていた。
「TMSは電磁石の櫛みたいなもの、脳細胞、つまりニューロンは髪の毛だと思うといい。
その髪の毛は決まった方向にとかして一時的な神経の髪型をセットするのがTMSの仕事だ。
どんな髪型でもそうだが、何もしなければ自然と元に戻る」

ひとつひとつのネタが面白い。
この本を下敷きにすれば、現代の「羊たちの沈黙」が書けるのではないだろうか。

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