物語の体操

物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン (朝日文庫)小説の書き方についての本はたくさんあるが、物語の構造から創作を誘導する指導方法は珍しい。
それも体育会系である。
本書の中のレッスンでは、大量の物語を考えることを強要される。
物語を作る筋力を鍛えるには、量が必要になるのだ。

物語には型があり、その型を意識することで、半ば強引に、自動的に物語を作ることが出来る。
どこかで聞いたことのある理論だと思ったら、私が高校・大学でよく読んでいた昔話の構造分析の理論だった。
当時は言語の構造分析に端を発する文化研究が盛んだった。
懐かしい。

こういった「依頼と代行」の物語の起源がどれほど古くかつ物語にとって根源的な要素であるかはロシア民話の構造を31の最小単位に配列したプロップの研究を参照すると納得がいくというものです。
プロップは「物語の構造」を構成する最小単位を「機能」と呼びました。
つまりプロップに言わせるとロシアの魔法民話は「31の機能」からなる物語ということになります。

プロットやキャラクターをカード化してストーリーを考える手法も、当時はよく検討したものだ。
頭の中だけで考えると、ストーリーがパターン化してしまうので、ある程度の偶然性を持ち込むと、話に幅が出る。
この本でもカードを使った創作方法を解説しているが、要求される練習量が半端ない。
これを愚直に実行すれば、確実に実力が上がると思う。

1.主人公の現在
2.主人公の近い未来
3.主人公の過去
4.援助者
5.敵対者
6.結末

それでは課題を実際にやってみて下さい。
カードを使って<おはなし>のプロットを100個作ってみましょう。

創作が作家ではなく、万人に必要な時代だという見方は面白い。
インターネットの普及により、全員が発信者となりえる現代なので、確かに誰もがストーリーテーリング修行をするのも良いかもしれない。

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