マリアビートル

マリアビートル (角川文庫)「みんな悪人」という、どこかの映画のような話である。
たまたま同じ新幹線に乗り合わせた殺し屋たちが、ひょんなことから潰し合うことになる。

と言っても、ドロドロした雰囲気の小説ではない。
登場人物たちは、どこかトボけたところがあり、微笑ましくさえある。
何をやっても悪い方向にしか転がらない男や、機関車トーマス好きの殺し屋など、思わず応援したくなるキャラが多い。

裏世界の大物の息子を誘拐犯から助け出し、身代金と伴に護送している殺し屋の二人と、その身代金を狙う運の悪い男。
息子の敵である中学生をつけ狙うアル中の親父。
この5人が同じ新幹線に乗り合わせたことで、悲劇、というかドタバタ喜劇が巻き起こる。

たいした話ではないのだが、新幹線の中という限られた空間の中で、これだけの犯罪小説を完結させる手腕は流石である。

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