十二国記シリーズの短篇集第二弾。多分。
記憶が曖昧だが、よく知っているキャラクターや、知っているようなキャラクターが登場する。
そして、政治の難しさが良く伝わって来る。
冬栄
まだ幼い泰麒は、漣国の王との出会いを通じ、王と麒麟のあり方を学ぶ。
「仕事は自分で選ぶものです。お役目は天が下すものです」
漣国の王がいい味を出している。
乗月
芳国の王を討った月渓は、その王を憎めなかったため、王座に就くのを拒み続ける。
書簡
景王陽子と旧友の半獣楽俊との手紙のやりとりで、景国や大学で問題抱えながらも、相手を思いやり、少し背伸びをしている姿が描かれている。
華胥
理想に燃えて先王を討ち、国を得た者達の理想主義者ゆえの哀しい末路である。
帰山
傾きつつある国を見て回る道楽者と思いきや・・・
この楽しい家族が仕切っている限り、なかなか国は傾かないだろうと思う。
全体に政の難しさを描いた話が多い。
十二国記の世界では、麒麟を通じて、天が王を選ぶのだが、それでも失敗し国が傾く。
簡単な例としては、民のことを思って税を軽くすると、公共サービスが賄えない。
このように、政治には正解はなく、状況に依存する調整である。
ファンタジーで政治を描いてもリアリティがない、と思われるだろうが、そんなことはない。
現実の政治は、様々な立場の人の考え方や考慮しなければならない要素が多過ぎて、小説として描くのは難しい。
ファンタジーとして、あえて情報を絞り込むことで、テーマが見えやすくなる。
それがファンタジーの機能だと思う。
芸術全般、表現全般の機能とも言えるが。
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