明日の幸せを科学する

明日の幸せを科学する(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)人間が、なぜ幸せになれないか、という永遠のテーマを心理学の観点から分析した本である。
結論はわりと単純で、これだけのページ数が必要だったとは思えない。

人間は、未来に関して誤ったイメージを抱き、結果としてその未来に達した時に失望する。
これが幸せになれない原因である。

人間の脳はとても省エネに出来ており、特徴のみを記憶して、残りは捏造し、帳尻を合わせる。
未来についても同様で、ポイントだけを想像し、その周辺には思いが及ばない。
しかし、得てして、その周辺が重要な場合が多いので、結果的に「こんなはずではなかった」という事態になってしまう。

また、未来を想像するにあたり、現時点での感情を元にするが、現在と未来では状況が違うので、未来では同じ感情を得られるとは限らない。
だから、自分の想像はあてにならない。

一番良い方法は、現時点でその状況にある人から幸せ度を聞くことである。
しかし、人間は、自分は特別だと思っているので、他人の話を参考にしない傾向がある。

語り口はユーモラスで、読んでいて面白いのだが、もっとコンパクトにまとまったのではないかと思う。

経験の緻密なタペストリーは記憶に保存されないー少なくともそっくりそのままのかたちでは保存されない。
保存できるようにタペストリーを圧縮して、まずは、概要を表すことば(「ディナーはがっかりだった」)や少数の特徴(硬いステーキ、コルクくさいワイン、横柄なウェイター)といった数本の重要な糸だけにする。
のちのち経験を思い出したくなったら、脳はタペストリーを織りなすために、大量の情報をすばやくでっちあげーよみがえらせるのではないーわれわれはそれを記憶として経験する。

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