魔女の世界史

魔女の世界史 女神信仰からアニメまで (朝日新書)魔女の歴史について、主に美術史的な観点から解説している。
私が期待していたのは、幻想文学や文化人類学だったので、少し残念だった。

「魔女狩り」から「魔法少女」「きゃりーぱみゅぱみゅ」まで

という帯の煽り文句に惹かれて買ったのだが、予想とは方向性が違った。

魔女の歴史に関する研究書は、幻想文学の歴史を踏まえた考察や、文化人類学的な研究が多いのだが、この本は美術史を中心に解説している。
それも悪くはないのだが、私の興味とは些か異なる。

有名な秘密結社・黄金の夜明け団など、現代の魔術信仰に言及している日本の文献は少ないと思う。
その辺りの解説をしているのは良いのだが、文章が読みにくいのか、眠くなったしまった。
魔女に関する現代的なアイコンを色々と取り上げてはいるのだが、名前を上げているだけで、分析には至っていない。

以下に、興味深かった箇所を引用する。

メアリー・シェリーのこの小説の最大の興味と、強みと、女性らしさは、次の点にあると私は考える。
すなわち、生まれたばかりの生命に対する突然嫌悪を感じるという主題、誕生をめぐる罪と恐怖と逃亡のドラマという点である。(エレン・モアズ)

アール・ヌーヴォーをもたらしたのは、女子どもの文化であった。
19世紀は、<子ども>の文化を発見した。
子どもは未来の大人というだけでなく、独自の文化があると考えられるようになり、子ども部屋、子どもの絵本などがつくられるようになった。イギリスでは子どもの絵本の黄金時代が来た。ケイト・グリーナウェイ、ウォルター・クレインなどが、美しい絵本を描いた。
子どもの文化を認められることは、それまでの<大人>の文化、つまり男性中心の、ヨーロッパ中心の文化だけでなく、いろいろな<文化>があることの発見である。それまで文化以前と見られていた領域が<文化>として認めれれた。

驚くべきことに、英国では魔女を禁じる法律、アンチ・ウィッチクラフト法は、1736年に制定されて以来、1951年まで生きていた。この法がこの年に撤廃されるまで、魔女は法律的に許されなかったのである。

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