物を売るバカ

物を売るバカ 売れない時代の新しい商品の売り方 (角川oneテーマ21)「物語」はマーケティングのひとつのトレンドになっている。
一般に需要が低下している現代において、商品そのものではなく、その背景となる「物語」で消費者を惹きつける方法だ。
この本では、「物」そのものを売るのではなく、「物語で売る」方法について詳細に解説している。
そして、その物語には、ちょっと感動する。

「物語で売る」方法には以下のメリットがある。
・興味を持ってもらえる
・感情移入してもらえる
・記憶に残る
・オンリーワンになれる
・失敗を語ることでより深い共感を得る
・イメージを共有できる
・口コミしたくなる

自社で商品を開発していない販売会社などでも、商品以外の「物語の種」があると言う。
「物語の種」は、次のようなところに存在する。
・志
・体験
・創業者の思い
・接客
・社会貢献
・サプライズ

著者が語る「ストーリーの黄金律」は、ベストセラーの書き方や神話の分析に通じるところがある。
すなわち、
・何かが欠落した主人公
・遠く険しいゴール
・数多くの障害を乗り越える

車内販売員を例とした、「win-win」を超える、「ラブラブ」という考え方も面白い。
お客さまに惚れてしまえば、サービスのレベルは上がり、結果的にお客さまからも選ばれる。
その関係を維持するには、「ミステリアスな要素を残す」「期待を少しでも上回り続ける」などがポイントになるようだ。

日本ではほとんどの商品・サービスが、それなりに高品質で、価格も適正なことが多く、他社と差別が難しい状況になる。
その中で、消費者から選んでもらうには、「物語」は有効な手段だと思える。
むかしから人間は物語を求めていた。
そして、この方法なら、小さな会社や個人でも戦える可能性がある。

しかしそれを見たシュッツビールの経営陣は反対しました。「蒸気でびんを洗浄するなんてどこのビール会社でもやっている。そんなことを語っても効果なんてない」と。
彼らの予想とは裏腹に、出稿された新聞広告は大きな反響を呼び、そのビール会社を数ヶ月で業界トップに押し上げました。
業界では当たり前のことでも、生活者によっては初めて知る「物語」だったのです。
その製造工程を知り、商品に信頼を抱いた生活者たちは、そのビール会社のファンになりました。

「食べる物と食べ物の背景にある物語をセットにして食べると、普通に食べるよりおいしく感じる」
オイシックス社長 高島宏平

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