her 世界でひとつの彼女

【映画ノベライズ】her/世界でひとつの彼女 (宝島社文庫)恋愛映画である。
相手はコンピュータ。
禁断の恋の行方がどうなるかハラハラする。

離婚訴訟中の主人公は、鬱屈とした日々を送っていた。
気まぐれでインストールしたコンピュータの最新OSは、相手が人間かと思えるほどウィットに富んだ会話も可能だった。
彼はOSとの会話にはまり込み、いつしか恋をするようになる。

iPhoneの音声認識機能であるSiriも、楽しい受け答えをするのが話題である。
コンピュータ相手に、人間に対するような会話が出来るのも夢物語ではなくなって来ている。
人工知能の研究でも、相手がコンピュータだと分かっていても、つい愚痴を言ってしまうらしい。
人間は対象が動物やモノでも、相手に感情があると考えてしまう生き物なので、コンピュータとの恋まであと1歩の段階なのかもしれない。

この映画の秀逸なところは、コンピュータ側も苦悩しているところである。
自分の感情が本物なのか、単なるプログラムなのか悩むところが愛らしい。
だから二人を応援したくもなる。
しかし、人間とコンピュータの結ばれようがない禁断の恋である。
どのような結末になるのか、とても気になる。
IT側の人間としては、このシステムはクラウド処理だと思っていたが、やはりそこが後半のポイントになって来た。

アメリカ映画であり、大人の映画なので、セックスが外せない。
テレフォンセックスの場面もあり、家族で観るのはお勧め出来ない。
そのような愛の形もあるという前提で、音声だけの恋人がある程度は成立している。

コンピュータが絡んだ映画は技術面でいい加減なことが多いが、この映画はなかなか良く考えられている。
近未来の生活のビジョンは、大きな破綻もなく、楽しく、おシャレに描かれている。
人間とOSとゲームのキャラクターの3者が同時に会話するシーンは、音声認識が発達すればそういう状況もあり得る、と思わせる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です