広告やメディアで人を動かそうとするのは、 もうあきらめなさい。

広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。テレビ広告ではモノが売れなくなってしまった現代において、「いかに人を動かすか」について書かれた本である。
規模別に「人を動かすポイント」を解説した企画は、スケールが大きくて面白い。
マーケティングの話なので、証明が難しく感覚的になってしまいがちだが、多様なメディアを経験し、LINEの法人ビジネス責任者である著者の言葉なので、説得力がある。

マスメディアの広告枠では、人は動かせない。
「メディア横断Xリーチ志向」という考え方が誤りだからだ。
近年、企業の広告費と企業の業績に相関はなくなって来ている。
メディアの多様化とHDレコーダーの普及により、編集権が消費者に移行したからだ。
企業は、事前に全てコントロールすることをあきらめるしかない。
以上が、冒頭にある著者の主張である。

しかし、企業は消費者に情報を伝え、自社商品の購入に誘導しなければならない。
そのためには、ターゲット規模からメディアを選ぶ必要があるという。
・ターゲット精度は高いがスケールの小さなメディア(例:検索連動広告)
・リーチを稼げるが精度の悪いメディア(例:テレビCM)
最適なメディアを選択、組み合わせる必要がある。

規模別に「人を動かすポイント」を解説しているが、その規模が1,000人から10億人とスケールが大きい。
それぞれのポイントは科学的に検証が難しいが、世界で数億人が使うLINEの法人ビジネス責任者である著者の言葉なので、説得力がある。

人を動かす新しい方法として「戦略PR」が紹介されている。
マスコミ報道やネットクチコミ、専門家を巻き込んで世論形成をする手法である。
自社の商品そのものを宣伝するのではなく、自社の商品が必要とされる状況を作り上げるのだ。
本当にうまく機能すれば、恐ろしい方法だとも思う。
CIA辺りが実践しているに違いない。

技術的な話として「人を動かす3要素」について解説されている。
3要素とは「心・技・体」である。
「心」で消費者のココロの沸点を探る。
「技」は、旧来のマーケティングに近い。
どのようなメディアを使い、効果的に情報を伝えるかという方法である。
「体」は、「体験」である。

「LINE」の成功の本質は、メジャーアプリとしての機能性やスタンプというコンテンツの完成度ではなく、「非言語」という領域に本格的に足を踏み入れたことにある。

[amazonjs asin=”4799315250″ locale=”JP” title=”広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です