Nのために

Nのために (双葉文庫)湊かなえの純愛小説。
それぞれが愛する人のために嘘をつき、罪を共有する。
デビュー時の小説とは方向性が変わって来たのが、個人的には少し残念。

前半は、痴情のもつれのような単純な殺人事件の調書になっている。
事件の関係者による証言では、特に変わったところのない事件に思える。

後半では、関係者それぞれの視点で真相が語られる。
事件の真相は、それぞれの視点により少しづつ異なる「羅生門」のようなスタイルだ。

ぞれぞれの人が愛するひとのために嘘をつき、かばわれた人はその事実を知らない。
人知れず罪を共有することが至上の愛なのである。

犯罪小説ではあるが、純愛小説としての色合いが濃い。
とても凄惨な家庭環境の影響もあるのだが、加害者側の語り部がいないので爽やかな印象しか残らない。

解説にもあるように、「告白」「少女」「贖罪」などのデビュー時の作品の特徴であった後味の悪さはなく、新しい作風に舵を切ったのかもしれない。
しかし、3作品のような悪の爽快感がないのが残念である。
この原作ならば、安心してみられるテレビドラマになることだろう。

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