NHKでの放送でも有名になったTEDを題材にして、効果的なプレゼンの方法を解説している。
パワーポイントを使った一般的なプレゼンではなく、プレゼンを感動的なエンターテイメントにまで高める方法だ。
事例として使われているTEDのプレゼンがそれぞれ素晴らしく、本書を読んだ後に、それらのプレゼンをネットで探して鑑賞する楽しさもある。
TEDのプレゼンを分析した結果、心を動かすプレゼンテーションには、必ず次の3要素があるという。
- 感情に訴える。
聴衆のハートに触れる。 - 目新しさを出す。
聴衆に何か新しいことを教える。 - 記憶に残す。
聴衆が絶対に忘れないような形で見せる。
聴衆のハートに触れるには、まず自分自身が情熱を持たなければ伝わない。
情熱は伝染する。
ここでの事例は、脳卒中を自ら体験した脳科学者の話だ。
脳卒中を内部から観察出来る立場になった興奮が伝わってくるプレゼンである。
感情に訴えるには、「ストーリーを語る」、「会話のように話す」のも効果的である。
しかし、「会話のように話す」には、膨大な練習が必要になる。
人間の脳は新しいことが好きなので、目新しさを出すのは重要だ。
学習は快感なのである。
記憶に残すためには、「3点ルール」を使う。
人間がしっかり記憶できるのは3つまでなので、それを意識した構成にする必要がある。
そのための方法論として「メッセージ・ロードマップ」が紹介されている。
また、記憶に残すためには五感を刺激するのが良い。
画像は文字よりも記憶に残りやすいので、内容はビジュアル化するように努める。
TEDのプレゼンが18分間なのには大きな意味がある。
聴衆を飽きさせない限界の時間でもあり、制限を設けることでプレゼンターのクリエイティビティを刺激する。
プレゼンについての解説本だが、ホームページ制作などの全ての表現に通じるものがある。
ひとに伝えたいものがある表現者ならば、読んでおいて損のない本だと思う。
ストーリーを語るときには、なるべく比喩や具体例、感覚を刺激する言葉を使いつつ、決まり文句や流行語や専門用語は使わないようにしよう。100万回聞いたようなフレーズを耳にしたとたん、聴衆はそっぽを向いてしまう。
「聴衆の感情的反応を喚起すれば、話に集中し、情報を鮮明に記憶し、後にも思い出してもらえるはず。抽象的な事柄では、できるだけ具体的で心に残るような例を使って説明すること。美しいもの、驚くようなもの、あるいは不快な画像を効果的に使ってね」心理学教授レベッカ・トッド
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