グロースハッカー

グロースハッカー新しいマーケティングのトレンドである「グロースハッカー」についての解説書である。
従来のマーケット手法を使ってきたマーケッターが、新しい手法の出現に脅威を感じ、乗り遅れないために調査し、調査結果を元にテストした実績が報告されている。
「グロースハッカー」の専門家による解説ではなく、門外漢による学習の成果なので、とても理解しやすい。
また、巻末には、日本での実例として「クックパッド」でのグロースハックが紹介されている。

「グロースハッカー」とは、会社やサービスを劇的に成長っせるものの売り方、作り方である。
このような手法が台頭してきたのは、インターネットの普及により、大企業でなくても顧客に情報を伝えることが可能になり、その方法がマス・マーケティングよりも効率的になったからである。

著者はグロースハックには以下の4つのステップがあるとしている。
ステップ1 まずは人が欲しがるものを作れ
ステップ2 自分なりのグロースハックを探して
ステップ3 クチコミを巻き起こせ
ステップ4 つかんだユーザーを手放すな

ステップ1 まずは人が欲しがるものを作れ
当たり前のことのようだが、従来のプロセスでは、製品開発とマーケティングは分断されていた。
マーケティング部門は、製品開発が作り上げた製品を、いかに売るかに腐心していた。
グロースハッカーは、顧客のニーズに製品やサービスがマッチするまで、長い時間をかけて調査と修正を行う。
実用最小限の製品でスタートし、ユーザーのフィードバックに基いて改良していく。

ステップ2 自分なりのグロースハックを探して
製品がマーケティングに値するまでテストを繰り返したら、成長エンジンを始動されるビックバンを激しく追い求める。
万人ではなく、コアユーザーの関心を捉え、引き込むための刺激的な方法を見つけ、ユーザを追跡・育成する。
ふさわしい相手にターゲティングしたピンポイント攻撃を行う。

ステップ3 クチコミを巻き起こせ
グロースハッカーはクチコミを成り行き任せにはできないと理解している。
”ゴー・バイラル”したければ、クチコミの種を製品の中に仕込む必要がある。
製品の中にクチコミを拡散したくなる理由と、拡散するための手段が内在していなかればならない。

ステップ4 つかんだユーザーを手放すな
サービスそのものの改善に投資する必要がある。
ユーザーがそのサービスから離れられなくなるまで改善する。
新たな顧客を獲得する努力をするよりの、既にある顧客基盤を定着させることの方がROI(投資収益率)は高い。

メディアでは華やかなように語られる「グロースハッカー」だが、日々の作業はとても地味なようだ。
クックパッドの担当者による巻末の「解説」を読むとよく分かる。
「グロースハック」とは広告予算のないベンチャー企業が、手持ちの札を使った精いっぱいの挑戦が元になっているからだろう。
だから、中小企業でも大企業を向こうに回して戦える可能性がある。

本書で紹介されている事例と同様に、クックパッドのプレミアムサービスでも(販売促進の予算こそあるが)広告宣伝の予算はほぼない。本書で紹介されているように予算を必要としない「メールの下に1行メッセージを追加する」「ボタンの色や形、幅などを少しずつ変える」「メッセージの文字の大きさを変える」「登録情報ページを入力しやすくする」といった、サービスそのものに手を加えた細かなトライを実施している。そして、こうした変更による利用者の行動変化を測定して効果があったかどうか、立てた仮説は正しかったかどうかを検証している。ただひたすら、この繰り返しなのだ。

1日1%ずつ改善していけば、3年後には5万倍を超える成長を遂げている。とてつもない成長だ。
この考え方が、毎日今より少しだけ自分たちのサービスをよくしていく挑戦を続けるグロースハックの根底に存在している。「レシピの入力欄を少しだけわかりやすくする。」この取り組み単体で見れば、小さな改善かもしれない。大事なのは、こういった改善を繰り返すことで、圧倒的な価値を生み出すサービスに育てていくことなのだ。

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