世界から戦争がなくならない本当の理由

世界から戦争がなくならない本当の理由終戦70年だし、日本もきな臭い雰囲気になって来たので、池上彰の解説で、過去の戦争について見直してみることにした。
池上彰の番組を観ることは多いが、本の方が自分のペースで理解できるし、好きな時に読み返せるのでテーマによってはテレビより本の方が向いていると思う。
この本では、日本だけでなくアメリカやヨーロッパ、中東における過去の戦争を振り返り、今後のための指針を得ようという試みである。
人類の愚かさと、過去を知る重要さを痛感する一冊だった。

第1章
太平洋戦争に対する責任を自身で追求しなかったことから、憲法問題、自衛隊、安保闘争などを通して、過去を反省しない日本の問題点が語られている。

第2章
朝鮮戦争、ベトナム戦争、9.11など戦争によって自ら敵を作り出してきたアメリカの過ちについてである。

第3章
キューバの問題を中心に東西冷戦について解説されている。

第4章
戦争時における報道のあり方がアメリカと日本の事例で語られている。

第5章はヨーロッパで起こりつつある「新冷戦」、第6章は中東の宗教対立、第7章はアフリカ・アジアでの代理戦争についてである。

どのような状況で戦争に突入していくのか、終戦後70年となった今日では、自分の経験として知っている人が減りつつある。
同じ悲劇を繰り返さないためには、経験ではなく、歴史から学ばなければならない。

日本はあの戦争で、230万人もの戦没者を出しました。(中略)
その中には、原爆を含むアメリカの空爆によって亡くなった数十万人の犠牲者も含まれていますが、およそ4割は戦地での餓死や病死でした。国が無謀といえる戦争をはじめた(あるいは始めた戦争を早くやめなかった)ことで、多くの兵隊が命を落としたのです。

本当に怖いのは異常な独裁者ではなく、それを支える国民の熱狂なのです。
戦後のドイツは、それをよく知っていました。そのため、新たに作った憲法(ドイツ基本法)では、過去の教訓を活かしてある軌道修正を施しています。あまり知られていないかもしれませんが、戦後のドイツ基本法には「国民投票」の規定がありません。直接投票で意思決定を行うと、また国民の間に何らかの熱狂が広がったときに、どんな間違いを犯すかわからないと考えたのです。物事を冷静に判断して意思決定を行うには、選挙で選ばれた国家議員に任せる間接民主制を貫いたほうがいい。ほかのどの国よりも「民主主義の危うさ」を知っているドイツならではの発想です。

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