二番目のフローラ

二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)他国の管理下にある軍事国家という複雑な設定のファンタジー。
スパイに憧れる元気な女の子が、自分の出自の秘密や国家の陰謀をめぐり冒険を繰り広げる。
ヤング・アダルトとよばれる中高生向けのタイトルには、面白いファンタジーが多い。

主人公のフローラは大きな屋敷で暮らしているが、軍の実力者である母親が屋敷の妖精を拒んだために、家事全般をひとりでこなさなければならない。
普通の屋敷では屋敷の妖精が掃除や料理をするのだが、母親は仕事でほとんど家に居ないため、フローラがすべての家事をこなさなければならない。
その上、前回の戦争の人質から解放された父親は、廃人同然なのだが、とつぜん意味不明の行動を取る。
フローラの住む国は、戦争で負けて他国からの監視下にある。
そして、フローラの家は軍人の家系で、学校を卒業後に軍人になることを期待されている。
そんな中、フローラは自分の屋敷の妖精と出会い、ある契約を持ちかけられる。

不幸な境遇に不満タラタラであるフローラのグチからこの物語は始まる。
彼女の境遇に同情しつつも、不思議な設定に惹き込まれていく。
ファンタジーなのに、なぜ占領下という凝った設定なのかも気になる。

本書は「二番目のフローラ」「ほんとうのフローラ」「怒りのフローラ」の3部作の1作目である。
巻が進むにつれて、フローラは女の子から少女に成長し、出自の秘密を解明し、敵国の陰謀を暴く冒険を繰り広げる。
舞台もお化け屋敷から、過去の世界、他国の前線とスケールアップしていく。

スパイに憧れるフローラは、何かあると憧れの女スパイの言葉を引用する。
これが結構いい加減で楽しい。

アクサカヤ卿は答えない。あたしは度を越してしまったのだろうか。”だが、まったくたのむことをしなければ、相手の答えはきまってノーだ”とニニ・モは言っている。

”恐怖はキャンプファイヤー用にとっておけ”とニニ・モは言った。

”乾いた靴下がどれだけ重要か、だれもが驚くことだろう”とニニ・モは言っていた。

”希望はタダ”とニニ・モは言う。

”敢然と立ちむかえ、勝利なくば消えるのみ”

ニニ・モはくちびるをかみ、目をくるりとまわして考えている。それから声をあげて笑いだした。「そうだ! あたしがこれまでの経験で得た最高の忠告をあげよう。おしっこをするチャンスをけっして逃さないこと。では、さらば!」

最後の最後でフローラの三角関係が適当に流されてしまった気がする。
強い女の話であって、男は添え物だからどうでも良いのかもしれない。

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