ハッピーボイス・キラー

精神異常の殺人鬼の視点で描かれたポップなスリラーである。
笑えるシーンは少なかったが、それなりに楽しめた。
万人にはおススメ出来ない悪趣味な映画でもある。

バスタブ工場の出荷係で働くジェリーは、まじめな青年だった。
会社の行事にも積極的に参加し、経理課のイギリス人美女フィオナとも仲良くなる。
ところが、ボーリング場跡の自宅に帰ると、飼猫と飼犬と会話する毎日だった。
かかりつけのカウンセラーには、薬を飲まないと病院送りになると脅される。
デートをすっぽかしたフィオナを車で拾った時に、不幸な事故の連鎖が始まる。

まあ、観る人もほとんどいないと思うのでネタバレしてしまうと、誤って殺してしまったフィオナをバラバラにし、首だけを冷蔵庫に保存する。
無駄に細かく切り刻み、こまめにタッパーに入れて積み上げる。
今度はフィオナの生首が喋り出し、冷蔵庫の中は寂しいから仲間が欲しいとねだる。
そして、不本意ながら、連続殺人事件が始まってしまう。

全体的に精神異常者のジェリーの視点で描かれている。
猫や犬との掛け合いは楽しく、フィオナは現実以上に美しい。
ピンクを基調としたバスタブ工場も、子どもの夢のようなカラフルだ。
しかし、カウンセラーから与えられて薬を飲むと、これらの全てが失われ、わびしい現実に引き戻されてしまう。

ミュージカルのようなエンディングでは、ジーザス・クライストも登場し、ポップな色彩の中、歌って踊る。
絶対ヒットはしないし、カルトにもならないと思うが、独特のティストの映画だった。
こんな映画を上映するシネマート新宿はさすがだ。

メンズディに観たので安かった。

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