ロビンソン・クルーソー 上

ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)鉄腕ダッシュの無人島開拓「ダッシュ島」や火星での生き残りを描いた「火星の人」が好きなので、サバイバルの古典「ロビンソン・クルーソー」を読んでみることにした。
読んでみると、上巻で無人島に流れ着き、フライデーに出会い、帰国してしまった。
無人島での生活が出てこない下巻は盛り上がりそうもないので、パスすることにした。

ロビンソン・クルーソーは、無人島に流れ着くと、すぐに難破した船から使える物を回収する作業に入る。
それも何度も、何度も、使えるものが無くなるまで運び続ける。
このように、この本での活動は地味な作業が多い。
そして、恐ろしく時間がかかる。
ひとつの作業が終わるのに、平気で数ヶ月かかる。
この本の中で本人も言っているように、時間だけはいくらでもあるのだ。

無人島に一人で取り残されたのに、常に前向きな姿勢が良い。
回想では絶望的だったことも語られるが、ほとんどの場合、淡々と作業を続けている。

現状について、良い点と悪い点をリスト化するなど、なかなか細かい。
生活も規則的で、そのサイクルに娯楽の時間を入れる余裕もある。

様々な工夫で王国を作り上げていく。
畑を作り、牧場を作り、一人ならば食べる心配は無くなっていく。

無人島で生活するうちに、物欲を捨て、悟りに近い心境を得る。
キリスト教徒としての信仰が深まり、神への感謝に多くのページが割かれるのだが、日本人にはよく分からない。
退屈な上に、現地人であるフライデーを蛮族と決め付け、上からの立場で教化しようとする態度はキリスト教徒の傲慢さに思える。

この本は章に分かれていないので、読むのが疲れた。

私は公平に、簿記でいう貸方と借方といった具合に、自分がめぐまれている有利な点と苦しんでいる不利な点とを次のように対照してみた。
悪い点
私はおそろしい孤島に漂着し、救われる望みはまったくない。
良い点
しかし、他の乗組員全員が溺れたのに、私はそれを免れてげんにこうやって生きている。

11月4日。今朝から働く時間、鉄砲をもってでかける時間、睡眠の時間、娯楽の時間などをきめた。

またじっさい、無理して喰べる必要もなかったのだ。というのも、私は少しも、食物に、それもすこぶる上等の食物に不自由はしていなかったからである。とくに山羊と山鳩と亀の三品ときたらたいしたもので、これに葡萄を加えたら、ロンドンのレドンホール市場だって数の割には、私の品にまさるご馳走はととのえられなかったろう。

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