簡単に言うと、后の地位を狙う4人の少女による大奥的な話しである。
途中までは少女マンガのような雰囲気だったが、最後はビックリするようなミステリーとして終わった。
平安時代のような雰囲気の世界。
4つの有力な一族の中から后を選ぶのが長年の決まりだった。
そのため、それぞれの一族から派遣された少女たちは、大奥のようなところでしのぎを削ることになる。
主人公の少女は、病気になった姉の代わりに参加することになった。
そのため、本人も父親もあまり乗り気ではない。
少女マンガの主人公のように、おっとりとした感じの彼女は、好戦的な他の少女たちに翻弄されることになる。
馬の代わりに巨大な鳥が車を引いて空を飛ぶ辺りから、この小説がファンタジーであることに気がついた。
人間ような人々も、実は鳥が人の形をとっている鳥ばかりの世界なのだ。
中盤からはシリアスな展開になる。
一族の勢力拡大のためには殺しさえ厭わないことが明らかになってくる。
そして、意外な人物が后に選ばれる。
しかし、それよりも意外なのは、主人公のスタンスだった。
本当に恐ろしいのは人間である、という使い古されたホラーのテーゼのような話だった。
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