さよならシリアルキラー

さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)シリアルキラーを父に持ち、殺人の英才教育を受けた少年の物語である。
父が捕まった後、普通に生きようとするが、自分もシリアルキラーになるのではないかと怯え続ける。
自分が父と違うことを証明するために、シリアルキラーの捜査に協力する。

思春期に多い自分が社会に適応出来ないという不安の暗喩として、よく使われるのが吸血鬼や狼男だった。
しかし、現代においては、シリアルキラーが一番リアルなのだろう。

自分の本性に怯えながら、親友と恋人に支えられて懸命に生きる少年を描いた良質な青春小説である。
最初は3人で行動していたが、ノッポで血友病の親友と元気な黒人の彼女は、それぞれ別の形で事件に巻き込まれていく。
殺人の描写こそ凄惨だが、少年探偵小説のような楽しさがある。

随所に出てくる父親の教えが、職人の伝承のようである。
ネタは、狩りと殺人、逃走だが、詳細で説得力がある。
なんといっても伝説のシリアルキラーの教えなのだ。

全3巻のこのシリーズでは、シリアルキラーの捜査に参加することになった時間に始まり、父親との対決、ラスボスの登場と、奇をてらった意外性こそないものの、手に汗握る展開である。

殺したいとか殺したくないとかじゃない。ただ・・・殺せるってことだ。たとえば、足が速いみたいなものだ。自分がすごく速く走れるとわかっているのに、どこかをてくてく歩かなきゃならないとしたら、走り出したくならないのか。全速力で。それと同じような感じなんだ。

”ときにはどこかが痛むこともある”ビリーが言う。”そういうときは判断しなきゃならない。それは死ぬほどの大きな痛みか。もしそうなら、対処しろ。そうでないなら、忘れろ。クローゼットに押し込めろ。袋に詰めて川に投げ捨てろ。なぜなら、死ぬほどでない痛みなら、必要ないからだ”

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