無限の書

無限の書 (創元海外SF叢書)舞台がアラブの架空の街というのが面白い。
登場人物たちの価値観や文化が西洋とは異なっている。
世界幻想文学大賞を受賞した作品で、SFとファンタジーのハイブリットという売りだが、ファンタジー寄りだと思う。

アラブの架空の街シティで、彼女に振られたハッカーのアリフは、彼女がネット上でアリフの痕跡を見つけられないように、特殊なプログラムを放つ。
ところが、そのことで保安局に追われることになる。

保安局に追われたアリフと幼馴染みの女の子ダイナは、姿を隠すため市場<スーク>に潜り込み、吸血鬼と呼ばれる密売人ヴィクラムに助けを求める。
ヴィクラムは人間とは思えない容姿で、自ら魔人<ジン>と名乗る。
保安局に追いつめられ、アリフは捕まり、ヴィクラムは女の子たちを連れて異界へ逃げる。
収容所から逃げ出したアリフも、彼らを追って異界へ向かう。

アリフが追われる理由は、昔の彼女から送られた一冊の本だった。
無限の書と呼ばれるその古書は、魔人に寄って書かれたものだと言われている。
保安局の検閲官ハンドの狙いは、人間と違う論理で書かれた本を参考に、新しいコンピュータシステムを構築することだった。
無限の書を巡るハッカーと保安局の戦いは、ジンたちを巻き込み、ネットワークの混乱を生み、予想外の最後を迎える。

 <魔人だ>影が答えた。<われわれは魔人だ。奥の部屋に2年になるデルのデスクトップがある。もうずっとウィルスにやられている。立ち上げると5分後にディスプレイが真っ暗になる。毎回再起動しなくてはならない>

「いくらやつでもこれには手を出せない。人工衛星なんだ」
「地上の制御装置にアクセスできれば可能だろう」
「不可能だよ、ぼくが個人所有している衛星だ」」

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