古代に世界中に埋められたロボットの部品を発掘する!
この設定を聞いてワクワクしない日本男児はいないだろう。
作者はグレンダイザーにインスパイアされたようだが、内容的には横山光輝のマーズに近い。
インタビューを中心にした作風も、無駄がなく、引き込まれる。
設定こそひと昔前の日本のロボットアニメのようだが、ちゃんと現代風にアレンジされている。
部品の捜査方法には、放射性同位元素を使う。
自然には存在しないこの元素は、文明が原子力を扱える状態で初めて現れる。
古代に部品を埋めた存在は、人類の文明が一定の状態になった時に部品が発見されるように仕組んだのだ。
ロボットの操縦は、2人組で行う。
上半身と下半身を別々のパイロットがコントロールするのだ。
ところが、ロボットの足は人間よりも関節が多く、操縦が難しい。
この問題の解消方法がひどい。
部品は世界中に埋まっているので、アメリカが秘密裏に発掘しようとすると、様々な問題が発生する。
部品は放射性同位元素に反応して飛び出すので、人が住んでいる地域であれば人的被害もでる。
また、アメリカ以外の国であれば、国際問題になる。
大きな部品なので、見つからないように発掘するのも難しい。
本書はインタビュー形式で記述されているところが多く、シナリオを読むような読みやすさがある。
スリリングな展開に、ぐいぐい引き込まれる。
中心になるのはインタビューという存在である。
プロジェクトを推進する責任者だが、その背景はほとんど語れれない。
アメリカの大統領さえ抑え込む力を持ち、非人間的なまでに冷静に作戦を実行していく。
宇宙人かもしれないと思ったが、後半には人間味ある側面が明らかになる。
その他のキャラクターも魅力的である。
子供の時に遺跡を発見し、その後科学者となり、チームの母親的役割をこなすローズ博士。
気が強く、一本気なメインパイロットであるカーラ。
サブパイロットとして頑張るも、問題を起こすライアン。
言語学専攻の大学院生だったが、その後パイロットの一人となるヴィンセント。
マッドサイエンティストのアリッサ。
悲しい恋愛関係もあるが、ウィットに富んだ会話は読んでいて楽しい。
続編も計画されているようで、今後のロボットの活躍が楽しみだ。
よく分からなかったエピソードの謎も説明されるのだろう。
きみは現職の大統領に地球上のすべての国の上空を侵犯することを許可させて、その隅々まで放射性物質を撒くことができるようにさせたいというんだな。
すべては巨大な地球外生命体のロボットのパーツが見つかるのを期待してのことだと。
それで全部か?ーそうなんです。それを知ったときにはわたしも言葉を失いましたよ。わたしはそんな状況下で、可能な限り辛辣に振る舞っているんです。いまのところはどうにか彼に結婚の申込を思いとどまらせる程度に、曖昧な態度をとってみせています。
ーことによるとあなたの頑丈な殻の奥底には、シンデレラの王子様がプロポーズしてくれるのを心底待っている幼い少女がいるのかもしれません。
ーもちろんいますとも。いままではそのちびをかなりうまく黙らせてきただけです。
ーもし彼に申し込まれたら、あなたはなんと答えるつもりですか?
ー面白いことをいいますね。彼が申し込むのは無理です。そんな完璧な瞬間が40年間けっして訪れないでけ陰険になる方法を見つけますから。
ー結局のところあなたは、その幼い少女をうまくあしらっているようですね。
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