この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた現在の文明が滅んだ後に、もう一度文明を復活させるとしたら、どのような知識が必要か?
そのために書かれた本である。
普段の生活では気にしていないが、我々の日常が、いかに多くの知識と工夫で成り立っているかを知ると、その幅広さに感動する。
「鉄腕ダッシュ」を数倍にして、ギュッと圧縮したような本である。
知識があまりに広範囲なため、残念ながらすべてを記憶にとどめておくことは出来なかった。

この本では、文明が崩壊する2つの状況を想定している。
人類の数は変わらないのだが、文明だけが滅ぶ状態を「マッドマックス」シナリオと呼んでいる。
このシナリオでは、生き残った人々は、資源をめぐって争い続ける。
もうひとつは、疫病等で人類の数が極端に少なくなる状況で、「アイ・アム・レジェンド」シナリオと呼ぶ。
こちらでは、人数に対し、前文明の資産が豊富に残っている。
この本では、「アイ・アム・レジェンド」シナリオの状況で、前文明の資産を食い潰しながら、文明をリスタートする状況を前提としている。

再現すべき文明は、次の分類で説明される。
・農業
・食糧と衣服
・物質
・材料
・医薬品
・動力
・輸送機関
・コミュニケーション
・応用科学
・時間と場所
・科学的方法

「農業」については、良い土壌の作り方、人間が食べられる植物、四輪作法、肥やしなどが語られる。
「物質」では、燃焼、石灰の利用、石鹸の作り方、酢酸の作り方、酸の入手方法などである。
「材料」は、粘土に始まり、石炭モルタル、金属、ガラスの特徴、作り方、利用方法が説明されている。

一度滅んだ世界で、本書で語られているような技術が復活する姿は、想像すると楽しい。
けれど、あまりに多岐に渡るため、一度読んだだけではとても覚えきれない。
現代では、それぞれが専門的な分野となっているものだから、それも仕方ないが。

見つからなければ、家庭用の洗剤として調合された塩素系の漂白剤など、同じように素晴らしく功を奏する驚くべき代案がある。次亜塩素酸ナトリウムを主要な有効成分とする5%の濃度の液体漂白剤をわずか数滴垂らすだけで、1時間で1リットルの水を殺菌することができる。

今日、ハーバー・ボッシュ法は年間およそ1億トンの合成アンモニアを生成しており、そこから製造される肥料が世界の人口の3分の1を支えている。この化学反応によって腹をすかせた23億ほどの口が満たされているのである。そして、僕らが食べる食品の原材料は体の細胞に同化するので、体内のタンパク質の半分ほどは人間の技術力によって人工的に固定された窒素からできている。見方によれば、僕らはなかば産業的に製造されているのである。

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