人類の未来

人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)現代の知の巨匠へのインタビューのシリーズである。
インタビューの相手があまりに有名な、伝説的人物なので、「まだ生きていたのか!」という驚きがある。
本書でも、人間に生来言語機能があるという説を唱えたチョムスキー、太陽のエネルギーをフルに利用する計画ダイソン環のダイソンなど、歴史的人物が登場している。

以下にポイントをまとめてみた。

「トランプ政権と民主主義のゆくえ」
ノーム・チョムスキー
・トランプの勝利は、アメリカの時代遅れな選挙人団制度が原因。
・メディアが重要な課題を無視している。
・IS誕生の土壌はアメリカが作った(宗派の政治的利用等)。
・諜報活動は国民をコントロールするため。
・AIが人間の知能を超えるというのは、まだファンタジーである。
・人類が地球環境を左右する「人新世」が到来した。

「シンギュラリティは本当に近いのか?」
レイ・カーツワイル
(シンギュラリティの概念を広めた科学者)
・人間の脳は線形思考だが、テクノロジーは指数関数的に進化する。
 そのため、人間には予想しづらい。
・血液ほどのロボットを体内に入れて免疫系の代替とする。
・クラウドが、次の新皮質の量的拡大となる。
・テクノロジーの発達で資源は無尽蔵となり、余剰の時代となる。

「グローバリゼーションと世界経済のゆくえ」
マーティン・ウルフ
(英ファイナンシャル・タイムズ経済論説主幹)
・グローバリゼーションへの反動は戦争と不況に帰結する。
・米ドルの基軸通貨の地位は当面揺るがない。
・国家主権とグローバル市場の折り合いが必要となる。
・金融はリスクを追うことが仕事だから、金融危機は避けられない。
・日本は、企業の収益を家計に移すことで需要を上げることができる。
・EUの通貨統合は間違いだった。
・世界中すべての反映した国は民主主義だ。

「都市とライフスタイルのゆくえ」
ジャルケ・インゲルス
(世界貿易センター2の建設等を手がける建築家)
・「持続的可能性」をデザイン的チェレンジと受け止める。
・建築が人間の意識を変える。

「気候変動モデル懐疑論」
フリーマン・ダイソン
・「地球温暖化」は政治的議論となり、科学的な計測がおざなりになっている。
 「地球温暖化」は事実だが、他にも解決すべき喫緊の課題が多くある。
・人間は真実を確認するより、物語を信じる傾向にある。
・粒子加速器による研究は、予想された事実しか発見できない。
 自然の観察こそが重要である。
・博物館のほうが学校より役に立つ。

動物の移動スピードは一定で、移動スピードが加速し続けるということはなかったから、線形モデルがインプットされたのです。しかもそれがうまく役立ってきた。だからわれわれの将来予測も線形になっていると考えられます。

基本的には、人生の終盤に出てくる病気に対して、免疫系は役に立ちません。進化は長寿を選択してこなかったから。(中略)そもそも自然界では、食料に限界があるし、25歳を過ぎて子供を育ててしまえば、進化上はもうお役御免なんですね。

新皮質の再上層をクラウドにつなげる。つまりクラウドの中には、人工的な新皮質が存在することになります。これは脳の新皮質と同じ働きをしますが、ちょうど200万年前に、突然、脳の新皮質拡大が行われたのと同じように、新たな量的拡大をするわけです。

新聞と現代の著作しか読まない人は、分厚い眼鏡をかけた強度の近視のように見える。自分が生きている時代の偏見や流行に完全に埋没していて、それ以外はまったく目に入らいないからだ。(アルベルト・アインシュタイン)

サイエンスのビギナーになるために、まずすべてを学ばなければならないと思うからですが、それは間違いです。実際の問題に挑戦すべきです。そうすれば、学ばなければならないことはそれほど多くないと気づくはずです。

[amazonjs asin=”4140885130″ locale=”JP” title=”人類の未来―AI、経済、民主主義 (NHK出版新書 513)”]

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。