ゾンビハンター

死霊狩り【ゾンビー・ハンター】〔全〕 (ハヤカワ文庫JA)平井和正の名作「ゾンビハンター」が合本版として出版されたので、久々に読んでみた。
驚愕のオチは既に知っているのだが、それでもやはり面白い。
アクション小説として楽しめるのは当然として、今読むと主人公の苦悩がよく描かれていると思った。

天才レーサーの田村は、レーサーの夢が絶たれ、金のために謎のキャンプに参加した。
そこでは戦闘マシーンに鍛え上げるため、参加者の死も顧みない過酷なトレーニングが待っていた。
キャンプを主催する秘密組織の目的は、人類の間に紛れ込んだ異星物「ゾンビ」を狩るための「ゾンビハンター」を育成することだった。
キャンプを生き延びた田村には、不死のゾンビを狩る使命が与えられるが、任務を実行するうちにゾンビの存在に対する疑問にさいなまれることになる。

子供の頃に読んだのは「ゾンビハンター」を原作とするマンガ「デスハンター」だった。
「デスハンター」に比べると、本家はバイオレンスやエロチックな描写が激しい。
しかし、田村が自分の行動に悩み続ける描写は、小説ならではである。
自分の行動を疑わない近頃のアクションものの主人公よりは、深みがあると感じる。

実は「ゾンビ」は、・・・だった!というオチは、当時は衝撃的だった記憶がある。
再度読んでみても、ラストの結果がどうなるか気になる。
「ゾンビ」の不死能力がどこまでかによって、その後の田村の運命は変わる。
読者の想像力に任せる、余韻のある終わり方だった。

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