マーダーボット・ダイアリー

自分でハッキングして、ホストコンピュータとの接続を切った保安ロボットの冒険。
人間嫌いで趣味が連続ドラマの鑑賞である。
自らを「弊機」と呼ぶこのボットがとにかく愛らしい。
この小説はそれに尽きる。
是非、続編も読みたい。
シリーズ化して、コンスタントに読みたい。

弊機の屈折して、愚痴っぽく、時に人間的な語り口がいい。
人間嫌いだけれ、いきがかり上、人助けをしてしまう木枯し紋次郎的なハードボイルドでもある。

もうひとり?の秀逸なキャラは、弊機の出会った宇宙船のAIである。
どちらも人間ではないが、人間よりも人間らしい掛け合いが楽しい。

弊機の判断ミスです(回数は専用のファイルで累計しています)。

「まあ、どうしても必要なら、抱き締めてもらってもかまいません」  
メンサーは笑いだしました。それから複雑な表情になって、ふいに弊機を抱き締めました。
弊機は胸の温度を上げて、これは救急医療だと自分に言い聞かせました。

ようやく気づきました。敵一号は、戦闘警備ユニットなのです。
反応1。だから弊機のコードをハッキングできたのか。  
反応2。戦闘警備ユニットの高い契約料にみあうほど弊機を危険視しているとは 面はゆい。
反応3。宇宙港警備部が戦闘警備ユニットの使用を承認するわけはないので、いまごろ大騒ぎになっているはず。
反応4。やばい。

〈わかりました〉  
弊機は不機嫌な声で答えました。不機嫌だからです。
感情は嫌い。

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