ヒトの目、驚異の進化

ヒトの目の進化について解説した本である。
この本の面白いところは、ヒトの目の持つ特殊な能力を超能力に例えているところだ。
スーパーヒーローのスーパーパワーのように語るのはどうかと思うが、確かに凄い能力だと思うし、それに気づいたのもたいしたものだと思う。

本書で解説されるヒトの目の超能力は、以下の通り。
・感情を読むテレパシーの力
・透視する力
・未来を予見する力
・霊読(スピリット・リーディング)する力

まずは、「感情を読むテレパシーの力」から。
ヒトが色を識別する卓越した能力は、熟した果実を判別するためだと言われている。
しかし、著者は、相手の感情を顔色から判断するために発達したという。
つまり、「感情を読むテレパシー」である。
顔に毛のない哺乳類である類人猿では、同じような傾向があるようだ。

次は、「透視する力」。
ここで、透視するのは、まずは自分の鼻である。
動物に2つ目があるのは、遠近感を得るためというのが一般的である。
著者の意見は違う。
2つの視野を脳内で合成することで、余計なものを認識しないようになっている、と主張している。
確かに、片目だと見える自分の鼻は、両目では見えない。
鼻だけではなく、目の前のの小さな物体、草などを視界から消すことができる。
これは、草原に住む動物には有利な能力らしい。

「未来を予見する力」
ヒトが外界を認識する時に、目が光を受けてから脳内で情報を処理するので若干の時間差が発生する。
結果、過去を見ていることになる。
動いている時に過去を見ていると、足元にあるものにぶつかってしまうかもしれない。
だから、ヒトは、未来を予想し、見てことにしている。
これが「未来を予見する力」である。
著者によると、錯視のほとんどの原因がこの未来視だという。
自分が動いているように思わせる図形は、現実ではなく、予想される未来を認識するので、実際の図形と異なる、錯覚を起こさせる。

最後の「霊読」は、文字を読む能力のことである。
先祖の言葉を、文字という形で読むことができる。
ヒトの作った文字は、ヒトが視覚的に認識し易いような形に進化した。

どんな霊長類でも、血液の量と酸素飽和度の変化に伴って、肌のスペクトルは同じように変わる。 だからこそ 私たち霊長類は、同じ種類の色覚を持っているのだ。

言い換えれば、時刻 に目に光が届いたとき、脳は時刻 に起こっていることの知覚を生み出すのでなく、(その知覚が完了する)時刻 に 起こっているだろう ことの知覚を生み出すべきなのだ。現在を知覚するためには、未来を先読みする必要がある。

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