天冥の標Ⅱ 救世群

小川一水による人気シリーズだが、1巻を読んだ限りでは趣味ではなかったので、続きには手を出さなかった。
しかし、2巻である本書までは、ゴールデンウィークに限り無料で公開されていたので、挑戦してみることにした。
驚いたのは、1巻が遠い未来だったのに対し、2巻は現代に近い未来が舞台になっていたことだ。
こちらの方が、感情移入はし易かった。

ほぼ現代のような近未来、世界をパンデミックが襲う。
主人公は、このパンデミックと戦う医師である。
謎のウィルスとどう戦うか、とともに感染者への偏見も大きなテーマになっている。
世界がパンデミックになっている今読むには、とてもタイムリーな小説である。

ウィルスや感染症についての説明には説得力があり、勉強になる。
登場人物は、等身大の人々で、感情移入し易い。
このまま現代を舞台にした映画にしても良いくらいだ。

この本を読み終わっても、1巻との関係が分からない。
3巻を読むと、関係が見えてくるようだが、そこまで興味は持てなかった。

人間は1世代に30年かかるが、やつらは1時間で世代交代する。やたらめったら生まれて死んで生まれて死んでをくり返すから、突然変異もばかすか出てくる。

おまけに微生物という連中は、人間の常識からはちょっと考えられないことをやる。 細胞形質転換と呼ばれる現象で、これは近所の仲間から遺伝子を借りてきて、自分のDNAに組みこんでしまうという大技だ。

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