ミステリアム

久しぶりのクーンツ。
そして犬。
これは泣けないはずがない。
犬が出てくる小説を書かせたらクーンツは世界一と言われている。
それだけでなく、クーンツのエンターテイメントはあざというまでに面白い、はず。
高校、大学の頃によく読んでいたが、新作はほんとに久しぶり。

細菌兵器の開発をしていた企業から謎の菌が漏れ出した、研究所が閉鎖する直前に、ひとりの感染した男が抜け出した。
感染した男は、人間離れした力と凶暴さを身に着けていく。
彼が目指すのは、むかし相手にもされなかった友人の妻の家。
その彼女は夫が死んだ後、自閉症の子どもとひっそり暮らしていた。
自閉症の子どもは、実は天才で、ネットに潜り父親が殺された秘密を探り当てる。
モンスターと化した感染者が近づいている時、少年を助けに向うものが居た。
人間の言葉を理解する犬である。
なんとも懐かしい80年代的設定。

薄幸な親子が狂気のモンスターに襲われないか、気が気ではなかった。
今回は、モダンホラーというよりSFだった。
最後の展開が101匹ワンちゃんみたいで笑える。
予想より泣けなかった。

ベラがページをめくるときは、鼻から息をフンッと吹き出すか、ページにしわをつけないように注意しながら、前足でそっと払うようにする。  
お話は食べるものと同じくらい美味しい。そして食べ物に負けないほど大事だ。  
お話がないと生きてはいけない。
お話は知性の最高の恵みだ。魂にとっての食べ物だ。妙薬なのだ。  
お話を通じて、千回でもちがった生を生きられる──そして自分自身の生を最高のお話へと形づくっていくことを。

<ミステリアム>を採用してくれると思うわ。
わたしたちはどこから来たのか? 
なぜここにいるのか? 
わたしたちのストーリーがとうとう明かされようとしてる。
祝いましょう。いつも真実を。チャンネルはそのままで。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です