最悪の予感パンデミックとの戦い

新型コロナ発生時の関係者の戦いを描いたノンフィクションである。
冒険小説のようでフィクションより面白い。
事実に物語を見つける著者の力を感じさせる。そして、構成がうまい。
だが、正解最高の医療を持つ国が最高の被害を出す。この時点では敗戦の物語である。

凄く面白かった印象は残ったが、ストーリーは思い出せなかった・・・

話は、子供の科学発表会用のパンデミック・シミュレーションから始まる。
その少女を手伝うのが、本作の登場人物のひとりである専門家のボブ・グラスである。
このシミュレーション・モデルが後で大きな意味を持つ。

もう一人の登場人物は、サンタバーバラ郡の保健衛生官のチャリティである。
伝染病に対抗できる組織を作るためにひとりで戦う。
実はCDCは、官僚的で研究優先の組織で、非常時には役に立たないことを初めて知った。

国土安全保障省で生物学的脅威を扱う部門のトップにされたラジーヴは、連邦政府のパンデミック対策の中心となる。
そのチームに呼ばれたのがICOの医師から病院の監督官を歴任したカーターである。
さらに、病原体を特定する特殊なチップを開発し、病原体が特定できない時の相談役ジョー・デリシ。

ついにアメリカ本土に新型コロナが上陸し、バラバラに語られていた登場人物たちが合流する。
アベンジャーズのようなワクワクする展開である。

しかし、この時点では、アメリカの感染症対策はうまくいかず、敗戦である。
事実を描くノンフィクションは残酷だ。

当時のアメリカ政府の方針は、「最も死亡リスクの高い、高齢者にワクチンを投与する」だった。それではいけない、とローラは思った。ボブ・グラスはこう回想する。「『さかんに社会的な交流をして、感染を拡大させているのは、若い人たちなのよ』と娘が言い出したんです。『若者に投与したほうがいいんじゃない』」

ミドルスクールに通うころ、発泡スチロールでウイルスの模型をつくり、自室の天井から 吊していた。「じっと見つめ、ウイルスについて考えるために。」

ウイルスはおのずと、人間より優位に立っている。「ウイルスは意図的に遺伝子コードを間違えて、進化していくんです。間違いが、前例のない進化の柔軟性をもたらします」。人類としては、ウイルスを理解する能力を高め、ウイルスの特別な力に対応する必要があるのだ。

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