身近な雑草の愉快な生き方

驚くべき雑草の生存戦略の数々。
人に教えたいが、覚えきれないのが残念である。
文学的、歴史的な背景の説明も多いのが生物学の本にしては珍しい。
イラストも良いが、せめてカラーにして欲しかった。

人に自慢したくなる雑草の戦略の一部は次の通り。

スミレ
春を過ぎハナバチが訪れなくなると、蕾のまま花を咲かせなくなる。
つぼみの中で雄しべと雌しべが直接ついて、受粉しているのだ。
開くことなく種子を付けるこの花は「閉鎖花」という。
他の花の花粉を付ける方が良いが、ハナバチがいないなら自分の花粉で受精してしまうのだ。
虫まかせの方法に比べて、こちらは季節を選ばないという強みがある。

スズメノテッポウ
スズメノテッポウには「水田型」と「畑地型」があり、その違いは種子の大きさである。
大きな種子は栄養分が多く、発芽しやすいが、たくさんは作れない。
小さな種子はたくさん作れるが、ひとつひとつの発芽の力が小さい。
植物は、この2つのどちらかの戦略を選択している。

コオニユリ
アゲハチョウは赤い色を識別できる。
だから、アゲハチョウを呼び寄せる花は赤系統の色をしている。

カタバミ
カタバミは夜間には葉を閉じる。
これは、夜間の放射冷却によって熱を失うのを防ぐためだ。
建物の影になったときや曇や雨の日には花を開かない。
光が当たらない時には虫の訪れる可能性が低いので、花を閉じて花粉のロスを防いでいる。

ネジバナ
ネジバナの種子はラン菌というカビの仲間を呼び寄せ、自らの身体に寄生させる。
そして種子のなかに入り込んだ菌糸から逆に栄養分を吸収して発芽する。

スベリヒユ
乾燥地帯では、昼間に気孔を開くと水分がどんどん蒸発してしまう。
そのため普通の植物とは反対に、水分の蒸発の少ない夜間に気孔を開いて、二酸化炭素を取り込んで貯め込んでおく、そして、昼間は気孔を閉じて、貯えた二酸化炭素を材料にして光合成を行うのである。

ハマスゲ
植物の細胞の圧力は5〜10気圧あり、車のタイヤが2気圧なのに比べるとかなりの圧力である。
この圧力で押し続けるので、アスファルトを突き破ることができる。
植物の細胞の圧力がこれだけ高いのは、土の中の水分を吸収しなければならないからである。

タイヌビエ
タイヌビエはイネに姿を似せることで、草の刈り取りを切り抜ける。
「擬態雑草」と言われる。

エノコログサ
通常のC3回路以外にC4回路を持っている。
C4回路は、二酸化炭素を圧縮してC3回路に送り込む。
この仕組みによって、光合成の能力は約2倍になる。

ヘクソカズラ
悪臭を放つガスで悪い虫を寄せ付けない戦略を取っているが、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシは、この悪臭成分をものとせず、自分の体内にためて外敵から身を守るのに使っている。
アブラムシの天敵であるテントウムシも、このヘクソカズラヒゲナガアブラムシだけは食べようとしない。

マンジュシャゲ
染色体のまとまりが3組ある三倍体であるため正常な受粉ができない。
そのため、もっぱら球根が別れて増えるだけのクローンである。

ホテイアオイ
「ビューティフル・デビル」と陰口をたたかれている。
池や水路を覆い尽くすので、水の中に光が届かなくなってしまい、ほかの生物のすめない死の池にしてしまうからだ。

ミゾソバ
ミゾソバは花で受粉して他の土地に広がるのと同時に、自家受粉でその場で増える。
自家受粉の場合、親と同じ遺伝子を受け継ぐ。
親が成功した土地であれば、同じ遺伝子ならば成功する可能性が高いわけだ。

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