3時30分に起床。
お願いしておいて朝食用と昼食用のお弁当を宿の人から受け取る。
4時40分に迎えが来る。
今回のツアーは私を含めて、5名4組だった。
若い男性、それなりの年齢と思われる女性、若いカップルだった。
みんな登山に慣れている感じではない。
真っ暗な山道を車でかなり上って登山口に到着。
夜明け前だというのに、結構な数の登山客がいる。
ガイドから尻に敷く小さなマットをもらい、小屋の中で朝食を食べる。
座って早く食べないと、次々に人が来るので、場所がなくなるらしい。
5時30分頃にスタート。
トロッコの線路の間に敷かれた木道をひたすら歩くらしい。
真っ暗なので景色は見えない。
久しぶりに使うヘッドライトは、ゴムがのびてうまく頭に巻けないし、みんなのよりも光量が少ない。
すぐに夜も開けるので、気にしないことにした。
暗くて状況もわからずひたすら歩く。
たまに、橋を渡るが、穴が空いていたりして、緊張感が高まる。
単調に歩き続けると、腰痛の影響で右足の付け根が痛くなるが、だましだまし歩く。
トロッコのエンジンの残骸や、むかしの集落跡を紹介されるが、あまり興味がない。
1時間ごとくらいに休憩があり、トイレもあるので助かる。
携帯トイレを用意したが、使わずに済んだ。
ガイドがいろいろ説明してくれたが、すべてはおぼえていない。
屋久島は花崗岩で出来ている。
花崗岩の中の正長石が巨大化しているのが屋久島の特徴である。
周囲の水温の高い黒潮から水蒸気が上がり、山を上り雨になる。
雨が多いので、植物が特殊な育ち方をする。
樹齢千年以上のものが屋久杉、それ以下のものが小杉と呼ばれる。
屋久杉は成長が遅く、年輪が詰まっており、樹脂が多いので腐りにくい。
そのため、森の中で死んだ屋久杉が腐らずに多く残っている。
死んだ杉の上に、次の杉が生まれ、その杉が死ぬとその杉の上に杉が生まれる。
それぞれに名前があったが、覚えていない。
生きている2本が交じると合成となる。
同じ種の植物しか合成しないらしい。
諸星大二郎のマンガを彷彿とさせる。
興味深い。
予想通り雨が降り出す。
屋久島では3日のうち2日は雨らしい。
レインウェアを着て、ザックにレインカバーを付ける。
そのため写真があまり撮れなかった。
iPhoneでうまく撮れる被写体でもない気もするが、残念だ。
後で、ガイドからAirDropで写真を送ってもらった。
サービスには感謝するが、自分で撮った写真が欲しいものだ。
やはり自分のペースでじっくり行きたいものだ。
自分で計画しないと、全然記憶に残らない。
自分で計画した旅行は、失敗も面白い経験になる。
三代杉、仁王杉、翁杉、ウィルソン杉、大王杉、夫婦杉とメジャーなところを案内してもらう。
ポイントでは記念撮影もしれくれる。
さすがツアー。
むかし天皇が来る予定があって、縄文杉までの道を整備したらしい。
結局来なかったのだが、垂直に近い角度で上る木の階段だけが残り、上るのが辛くなったらしい。
この階段を前にして、普段運動をしていない人は、ギブアップすることが多いと、ガイドが言っていた。
私は、普通の山道の方が大変だと感じた。
縄文杉直前のベンチで昼食にする。
弁当はまあまあの内容だが、小雨の中では味わっている余裕はない。
ガイドがふるまってくれた温かい味噌汁がうれしい。
屋久島は南の島だが、高い山はやはり寒いのだ。
フリースの上にダウンとレインウェアを着ているので、身体は寒くないのだが、普通の手袋をしている指先が冷たい。
防水ではないので、水が染み込んでくる。
食事を終えて、ついにゴールの縄文杉。
ただ、感動はなかった。
とても大きいのだろうが、展望台から見るため大きさが実感できない。
むかしは近くまで行けたのだが、根を踏まれると木に良くない、記念に表皮を持って帰る人がいる、倒れると観光客が危ない、などの理由で、いまは少し離れた展望台から見ることになっている。
ひととおり記念撮影などして下山。
来た道をひたすら戻るのはつらい。
体力のあるメンバーだったので、通常よりもペースが早いとはいえ行きに5時間、帰りに4時間歩くことになる。
幻想的な風景も人間はすぐに飽きる。
修行のように淡々と歩く。
こんな遠くまで来て、なぜ辛い思いをしなければならないのだろう、と自問ようになってしまう。
単調に歩くと、また足の付根が痛くなる。
しばらくすると痛みがなくなるが、何かのタイミングでぶり返す。
足の指にマメができそうだったので、ガイドからもらったマメ防止のテープを貼ったが、うまく貼られていなかった気がする。
予定より早く登山口に到着。
身体のあちこちが痛い。
宿まで送ってもらい、部屋に入ると、もう何もしたくない。
宿の夕食はまたも豪勢だった。
地元の食材を基本としつつ、毎回違う料理を作るのは凄いと思う。
この写真の料理以外に、刺身、ご飯、味噌汁、デザートが付く。
お腹がいっぱいで、もう動けない。