リスク

リスク〈上〉―神々への反逆 (日経ビジネス人文庫)本書で語られるのは、リスクに対する人類の挑戦についての壮大な歴史である。

しかし、久しぶりに読むのが疲れる本だった。
様々なところで”必読”と紹介されているので、挫折しないで何とか読み通した。
解説されている数学、統計、金融工学の理論を理解するのが大変で、頭の中を素通りしたものも多い。

古代のサイコロ博打に始まって、起こるべき可能性の数学的解明である確率を発見し、それが正規分布し、大数においては平均に近づくことが判明した。
それでも、リスクを征服したわけではない。
人間の決定、それも他者の決定との相互作用などのやっかいな問題が解明されていない。
歴史上の天才がいつくもの問題をクリアし、リスク解決へ肉薄する冒険小説と、思えば思えないこともない。

現代においてもリスク回避の万能薬は発見されていない。
遺伝的アルゴリズム、ニューラルネットワークなども駆使し、パターンの究明を図っているが、億万長者になる方程式は、まだない。

世の中の大半は正規分布に従い平均へ向かうが、それは大半に過ぎない。
だからこそ、未来は過去の延長ではなく、人類に自由意志がある。

そう言われても、投資判断の材料にはならない。

リスク管理の本質は、ある程度結果を制御できる領域を最大化する一方で、結果に対して全く制御が及ばず、結果と原因の関係が定かでない領域を最小化することにある。

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