ジャパニーズホラーは、私小説的な幻想小説になる傾向があるようだ。
娘を殺されたエッセストは、編集者に薦められ、自分の経験を元にした小説を書き始める。
同じタイトルの作品の著者が、かって家族を惨殺したことが判明し・・・
主人公は、小説を書く過程で、自分の存在に隠された秘密を探り当て、死者達の世界に引き込まれていく。
この本のベースになっているのは、イザナギノミコトの黄泉の国からの帰還である。
日本神話における生者と死者の関係を、現代を舞台にした語り直しに挑んでいる。
幻想文学は、その世界の雰囲気が読んだ人にマッチしているかに大きく左右される。
残念ながら、この本は私にはピンとこなかった。
死者達がなぜ、主人公に行動を強要するのかが理解出来なかった。
幻想世界における作者の論理展開に、私の波長が合わなかったのだろう。
「ホラー小説時評1990-2001」を読んで、日本のホラー作家も読んでみようと思い立った。
しかし、「地底世界ペルシダー」などの翻訳モノで育った私には、ジャパン・ホラー・ノベルは、感覚的に合わないものが多い。
「リング」や「呪怨」などの映画は凄いと思うし、怪談も大好きだ。
そのうち、感性の合う作家を発掘出来るだろう。
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