誰か

誰か―Somebody (文春文庫)連続殺人鬼も登場しない、密室トリックも、暗号もない。
普通の人たちの、ちょっとした事件である。
それをでも、エンターテーメントの職人は楽しませてくれる。

大企業の会長のお抱え運転手が、自転車に轢かれて死んでしまった。
残さされた娘は、犯人の良心に訴えるために、父親の生涯を本にしようとする。
それだけの話を、きっちり読ませる宮部みゆきは、やっぱり凄い。

着メロに思い当たるタイミングが絶妙である。
誰の着メロだったか、思い出せそうで、思い出せない。
顔は覚えているのに名前が出て来ない、みたいな。
絶妙なミステリーである。

ほのぼのとした話のようでいて、救いがない。
結局、悪意の原因を特定せずに、日常的な悪意の存在だけを浮彫りにして終わった。
恐ろしい話だったのかもしれない…

結局、「誰か」とは誰だったのだろう?
間違っても、自転車事故の犯人でないだろう。
幼少の姉を誘拐した犯人でもないだろう。
単純に、姉を思わせる詩のタイトルだろうか?
私の読解力が低いせいか、宮部みゆきの真意がわからない。

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