死神の精度

死神の精度 (文春文庫)小気味良い短編集である。
死ぬべきか、生きるべきか判定する死神が、歌手の卵や、ヤクザ、片思いの青年、人殺し、美容室の老婆などの前に現れる。

仕事と割り切り、人間の生死に興味のない死神は、どこまでもクールである。
しかし、邪念というものに縁がなく、ミュージックをこよなく愛する死神の「千葉」さんは、一番人間的なキャラクターである。

任侠モノや、雪に閉ざされた洋館でのミステリー、暗い過去を持つ人殺しとの逃避行、純愛小説など、様々なタイプの物語が楽しめる。
伊坂幸太郎は、なかなか力のある、今後注目の作家だ。

人間と感覚の違う死神の、人間に対する素直な疑問が笑える。
嫌みのない風刺になっている。

死神が音楽好きという設定も面白い。
死神仲間によく会うのも微笑ましい。

永遠の生命を持ち、人間に興味のない死神は、究極の傍観者である。
世をすねた探偵より、遥かにハードボイルドだ。
だから、少しでも人間的な動きをするとインパクトが大きく、楽しませてくれる。

微妙に短編が繋がっているのもいい。
最後の話は、思わず微笑んでしまう。

万年雨男の死神が、太陽を見るシーンは感動的である。
ブレードランナーのラストシーンを思わせる。

続きが読みたい。

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